【日本の美】~木の家設計作法-其の406 ~
谷崎潤一郎さんのかの有名な随筆「陰翳礼賛」において彼は、こう言っています。
昔の大概な建物が軒から下と軒から上の屋根の部分とを比べると
少なくとも眼で見たところでは、屋根の方が重く、堆く、面積が大きく感ぜられる。
左様にわれわれが住居を営むには、何よりも屋根と云う傘を拡げて大地に一郭の日かげを落し、
その薄暗い陰翳の中に家造りをする。
(陰翳礼賛・谷崎潤一郎)
日本の風土において形作られた日本の建築物は日本人の文化や美意識というものも形づくってきました。
そのひとつに大きな屋根や軒の出によりつくられる陰翳があります。
現代の住まいにおいて、屋根の下でつくられる暗さは一見デメリットに感じてしまうかもしれませんが、
私たち日本人は、もしかしたら無意識のうちに、屋根により日射が遮られた影の部分にどこか安心感だったり、
一定の暗さに美意識を感じたりしているのかもしれません。
そんな日本人に宿る美意識も頭に入れながら「日本の家」を設計していきたいと思います。
「雪月花の家」(瓦の大屋根の家・現代数寄屋住宅) 詳しくはこちら
私たちの家において陰翳をどのように表現しているかについてご案内する動画をYouTubeにUPしています。
~場面と記憶「情景」~という動画です。
陰翳を表現している住宅も見ることができます。
良かったら覗いて見てください。
日本の家をつくる。~場面と記憶「情景」~の動画はこちら
代表:袴田英保