コラムスタッフブログ
2026/04/18
【名作照明のこぼれ話】なぜあの照明は美しいのか?実は“建築から生まれた”という話

名作と呼ばれる照明には、不思議な共通点があります。
それは、流行が変わっても古く見えず、どんな空間にも自然と馴染むこと。
ではなぜ、そうした照明は長く愛されるのでしょうか。
実はそこには、あまり知られていない“ある背景”があります。
■ 実は「売るため」に作られていなかった

例えば、ヴィルヘルム・ラウリッツェン が手がけた照明。
彼は、ラジオハウス という建築のために、空間全体の光を設計しました。
このとき生まれたペンダント照明は、
いまでは「VL45」として知られていますが、
もともとは“商品”ではなく
その建物のためだけに作られた照明でした。
その後、ルイスポールセン によって製品化され、世界中に広がっていきます。
(参考:ヴィルヘルム・ラウリッツェンのプロダクト紹介 ~ ラジオハウス編 ~)
ほかにも、
● アルヴァ・アアルト の照明
例:A330S(通称「ゴールデンベル」とも呼ばれます。)など
自身の建築(図書館・ホール等)のために設計
反射光・間接光を前提とした“空間照明”
● アルネ・ヤコブセン の照明
例:SASロイヤルホテルの照明(AJランプ)
ホテル全体のインテリア計画の一部などが有名です。
■ なぜ建築から照明が生まれるのか?
ここには北欧デザインの考え方があります。
「建築・家具・照明をまとめて考える」
いわゆる“トータルデザイン”という思想です。
建築家は、
- この空間でどう過ごすか
- どこに光が必要か
- どんな明るさが心地いいか
といったことを最初に考えます。
そして、その答えとして照明が生まれます。
■ だから“空間に馴染む”
こうして生まれた照明は、
もともと空間のために設計されている
ため、どこか自然で、無理がありません。
一方で、最初から製品として作られた照明もあります。
例えば、
空間のサイズや用途によって、使い分ける必要がります。
■ 日本の美意識とも重なる話
この話は、日本の建築ともどこか似ています。
光を主役にするのではなく、
影や余白を大切にする
という考え方です。
1. 光を足すのではなく「引く」設計
→ 明るさ=快適ではない
→ 余白や陰影が空間の質を上げる
2. 素材は“光との関係”で決まる
→ 無垢材・左官・和紙は強い直射よりも拡散光で活きる
3. 見せすぎないことで価値が上がる
→ 住宅でも「全部明るい」は逆に単調になる
その感覚は、陰翳礼讃 にもよく表れています。
だからこそ、
建築から生まれた北欧照明は
和モダンの空間にも自然と馴染むのです。
■ こぼれ話のまとめ
名作照明を見たとき、
少しだけこんな視点を思い出してみてください。
「これは“どこから生まれた照明だろう?”」
- 空間から生まれたものか
- モノとして生まれたものか
それだけで、見え方が少し変わってきますね。
(文/ササキ)