設計作法
2026/04/18
【中間領域としての玄関ポーチ】~木の家設計作法-其の563~
「内」と「外」をつなぐ中間領域として、重要な役割を担うのが玄関ポーチです。
単なる通路ではなく、住まいの第一印象を決めると同時に、暮らしの質を左右する重要な空間です。
「内と外をつなぐ」という視点での設計ポイントをいくつか整理しました。
1. 空間の連続性を生む仕上げの工夫
視覚的な境界をあえて曖昧にすることで、広がりを感じさせることができます。
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床素材の共通化: 玄関土間とポーチのタイルの種類や色を揃え、さらに目地のラインを一致させることで、室内外が地続きに見える効果があります。
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天井(軒天)の連続性: 玄関内部の天井と、ポーチの軒天に同じ木材(杉の天井板など)を使用すると、視線が自然に外へと導かれます。
2. 軒(のき)の深さと機能性
日本の気候において、深い軒は「中間領域」を形作るための最も有効な手段です。
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雨天時のゆとり: 雨の日でも濡れずに鍵を開けたり、荷物を置いたりできる実用性は必須です。
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陰影の美しさ: 深い軒によって生まれる「影」は、落ち着きのある佇まいを演出します。
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外部収納との連携: アウトドア用品や自転車、宅配ボックスなどを配置するスペースをポーチと一体化させることで、生活動線がスムーズになります。
3. プライバシーと開放感のバランス
道路からの視線を遮りつつ、外の気配を感じられる工夫が求められます。
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袖壁や格子の活用: 玄関ドアの正面に縦格子や低い袖壁を設けることで、通風を確保しながら直視を防ぐことができます。
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クランク動線: 道路から玄関ドアまでを直線にせず、あえて少し曲げたり回り込ませるアプローチにすることで、奥行き感が生まれます。
4. 植栽による「緑のフィルター」
無機質な建築素材に自然の柔らかさを加えることで、より豊かな「外とのつながり」を表現できます。
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シンボルツリーの配置: ポーチの脇に落葉樹を植えると、夏は木陰を作り、冬は日差しを取り込むという機能的なメリットに加え、季節の移ろいを感じられます。
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足元のグリーン: 階段の蹴込み部分やポーチの端に、地被植物(タマリュウなど)や割栗石を配置すると、建築と地面が自然に馴染みます。
私たちは中間領域としての玄関ポーチを軒の出も含めてなるべく大きく取ることを心掛けています。
大事な場所でもあるので、しっかり役割を担ってもらえるように設計したいと思います。
サン工房・スタジオ代表:袴田英保

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