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ブログ

代表ブログ設計作法

2026/07/11

【地域と生きる家。】~木の家設計作法-其の573~

住み慣れた土地で、長年暮らした我が家を建て替える。それは単に建物を新しくするだけでなく、これまで築いてきた「地域とのつながり」を次の世代へとつなぐ大切な節目でもあります。

プライバシーをしっかりと守りながらも、地域社会の一員として心地よく関わり続けるには、どのような設計の工夫が必要でしょうか。今回は、かつて商売を営まれていた市街地の住まいを建て替えた「勇慕連(ゆうぼれん)の家」を例に、街と調和する木の家のあり方を考えてみます。

中庭がもたらす、街中の光と風

敷地は、隣家が目一杯に立ち並ぶ賑やかな街中。周囲の視線を遮りながら、いかに心地よい自然エネルギーを取り込むかが設計の鍵となりました。

そこで導き出した答えが「中庭」を囲む均整のとれた配置です。 外側に対しては閉じつつも、住まいの中心に中庭を設けることで、密集地とは思えない豊かな通風と採光を確保しました。一歩外に出れば賑やかな街でありながら、一歩中に入れば静かで開放的な光に満たされる。そんなメリハリのある暮らしを実現しています。

灯篭と水鉢がつなぐ「実家の面影」

新しい家でありながら、どこか懐かしく、ほっとする空気感を纏っているのもこの家の特徴です。

中庭には、建て替え前にお父様とお母様が大切にされていた灯篭や水鉢を、職人の手によって再び据え直しました。住まいの形は変わっても、庭の景色の中に実家の面影がところどころに息づいています。 家族の記憶を宿した意匠は、住まい手にとっての心の拠り所となるだけでなく、かつての家を知るご近所さんにとっても、どこか親しみを感じる風景となっています。

「向こう三軒両隣」を育む、もう一つの玄関と土間

「昔ながらの『向こう三軒両隣』の温かい関係性を、これからも大切にしていきたい」

そんな建て主様のあたたかなご意向から、この家には少しユニークな仕掛けを施しました。家族が日常使うプライベートな玄関とは別に、「街に開く玄関」と、それに続く広々とした「土間」を設けたのです。

  • プライバシーの確保: 家族の生活動線はしっかりと奥に守る。

  • 地域との緩やかなつながり: 土間は、ご近所さんがふらりと立ち寄って、お茶を飲んだり世間話をしたりできる「街の縁側」のような場所に。

気兼ねなく人が集まれる土間空間があることで、かつて商売をされていた頃のような、活気ある地域とのコミュニケーションが自然と生まれます。

これからの「地域と生きる」住まいづくり

新しくも懐かしい。閉じながらも開いている。

「勇慕連の家」は、プライベートな快適性を担保しながら、地域社会へのおもてなしの心を持った、まさに「地域に生きる家」です。木の家が持つ優しい風合いは、月日を経て街の風景にさらに馴染んでいくことでしょう。

暮らしてきた時間を尊重し、これからの地域との関係をデザインする。建て替えを検討される際は、ぜひそんな「街との距離感」にも目を向けてみてください。

サン工房・スタジオ代表:袴田英保

「勇慕連の家」(街で住む家・土間がある家) 詳しくはこちら

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