2026/10/09
日本の暮らしを再定義する。H600台の低座ダイニングテーブルのすすめ
H600台の低座ダイニングテーブルのすすめ

先日、安城市にある「SOUP」さんで、気になるダイニングテーブルと椅子を実際に見て、座ってみました。
それが、モノ・モノの「低座ダイニング」。
最初は「かなり低いテーブルだな」というのが正直な印象でした。
ところが、実際に座ってみると、思いのほか自然で、すっと身体になじむ。
「これは、日本の暮らしに合う高さなのかもしれない」
そんなことを感じさせてくれる家具でした。
いま、住宅の「スケール感」が見直されている

近年、伊礼智さんをはじめ、日本の住まいや暮らしを改めて見つめ直す建築家の方々の考え方が、全国の工務店や設計者に広がっています。
そのなかで、住宅のスケール感も少しずつ変わってきました。
たとえば、天井の高さ。
「できるだけ高く、できるだけ広く」という考え方だけではなく、あえて天井を低く抑え、身体に近いスケールで空間をつくる。
もちろん、周辺環境や敷地条件、家族の暮らし方を読みながら、吹抜けや高天井をつくってメリハリを持たせることも大切です。
一方で、伊礼さんの住宅などに見られるCH2100mm前後の落ち着いた居室のように、少し低く、包まれるような空間に心地よさを感じる人も少なくありません。
広ければ快適。
高ければ開放的。
必ずしも、そうとは限らない。
人の身体にちょうどよい寸法や、無駄に広げすぎない空間のスケールが、暮らしの心地よさをつくることがあります。
サン工房スタジオでも、吹抜けや高天井をご希望される方は多くいらっしゃいます。
その一方で、「天井は低いほうが落ち着く」「大きすぎない空間のほうが好き」といった声をいただくこともあります。
空間の心地よさは、数字だけでは決められないものなのだと思います。
H600台の「角のないテーブル」

そんな最近の住まいのスケール感と相性がよいと感じたのが、モノ・モノの低座ダイニングです。
一般的なダイニングテーブルよりもかなり低い、H600台。
数字だけを見ると、「そんなに低くて大丈夫?」と思うかもしれません。
でも、実際に座ってみると、その印象は大きく変わります。
まず感じるのが、身体との距離の近さ。
お椀や箸を使って食事をする日本の食卓に、意外なほどしっくりきます。
テーブルの中央に料理を並べても手が届きやすく、家族で食卓を囲む距離感も自然です。
そしてもうひとつ面白いのが、「ずっとそこにいたくなる」感覚。
一般的なダイニングチェアに座るというより、ソファに腰掛けるような感覚に近い。
食事を終えたあとも、そのままお茶を飲み、本を読み、家族と話す。
用途を食事だけに限定せず、暮らしの中心になる場所として使えるように感じます。
もしかすると、別にソファを置かなくてもよいくらい。
そんな家具のあり方も、これからの住まいには合っているのかもしれません。
「低い家具」が、空間を落ち着かせる
もうひとつ魅力的なのが、空間全体とのバランスです。
CH2100mm前後の、少し落ち着いた高さの部屋に、この低座ダイニングを置いてみる。
すると、家具だけが主張するのではなく、建物と人の身体、家具の高さがひとつのまとまりとして感じられます。
家具を低くすることで、視線も少し低くなる。
天井との距離が近くなり、空間が広いというより、「包まれている」ような感覚になる。
これは、畳の間や小さな居室に感じる心地よさにも通じるものがあるのではないでしょうか。
合わせたいのは「秋岡芳夫」と「豊口克平」

このテーブルと一緒にぜひ試していただきたいのが、秋岡芳夫デザインの「あぐらのかける男の椅子」と、豊口克平デザインの「トヨさんの椅子」です。
どちらも低い姿勢でありながら、しっかりと身体を支えてくれる椅子。
特にポイントだと感じたのが、椅子の「奥行」です。
脚の長い人が低い椅子に座ると、一見窮屈そうに思えます。
ところが、座面にしっかりとした奥行があり、腰を支えてくれる椅子なら、身体を預けることができる。
低いから疲れるのではなく、身体を支えるつくりがあるからこそ、長く座っていられる。
家具は「高さ」だけではなく、「身体をどう受け止めるか」まで含めて考えるものなのだと感じます。
北欧の椅子にも、低座の選択肢を

もちろん、和の家具だけに限定する必要もありません。
宮崎椅子製作所がつくるカイ・クリスチャンセンの「No.42」や、日進木工の「LLDアームチェア」など、北欧デザインの椅子と組み合わせるのも面白そうです。
その場合は、日進木工の「LLDテーブル」や、匠工芸の「SPREADダイニングテーブル ラウンド」なども候補になります。
日本の家に、北欧の家具を合わせる。
一見すると異なる文化のようですが、身体に近いスケール感や、木の質感、長く使うことを前提としたデザインには、意外な共通点があります。
そもそも、ダイニングテーブルは日本のものなのか
少し考えてみると、私たちが当たり前に使っている「ダイニングテーブル」という家具そのものが、日本の伝統的な暮らしから生まれたものではありません。
椅子に腰掛け、高いテーブルを囲んで食事をするスタイルは、もともと海外の暮らしの中で発展してきたもの。
それが日本の住宅に取り入れられ、今ではすっかり一般的になりました。
もちろん、それが間違っているわけではありません。
ただ、いまの日本の住まい方や、日本人の身体、食事の仕方、そして家で過ごす時間について改めて考えたとき、
「本当にこの高さが、今の暮らしにちょうどいいのだろうか?」
そんな疑問を持ってみることには意味があるように思います。
住まいの天井高を見直す。
畳のある居場所をつくる。
床に近いところで暮らす。
家具の高さを見直す。
ひとつひとつは小さなことですが、こうした積み重ねが、日本の暮らしに合った心地よい住まいをつくっていくのかもしれません。
家に合わせて家具を選ぶのではなく、暮らしから家を考える
私たちは、家を考えるとき、どうしても間取りや広さ、性能などから考え始めがちです。
でも本当は、
どこに座るのか。
どんな姿勢で食事をするのか。
どのくらいの距離で家族と話すのか。
その場所で、食事のあと何をして過ごすのか。
そんな「暮らしの動作」から、住まいを考えてもいい。
今回、低座ダイニングを実際に体感してみて、そんなことを改めて感じました。
家具は、ただ部屋に置くものではありません。
人の身体と暮らしのスケールを決めるものでもあります。
だからこそ、家をつくるときには、建物だけではなく、その中で使う家具まで一緒に考えてみる。
そんな家づくりも、これからの日本の暮らしを考えるひとつの方法なのではないでしょうか。
実物をご覧になりたい方、購入について詳しく知りたい方は、サン工房スタジオまでお気軽にお問い合わせください。