2026/10/30
サン工房のこれまでと、これから。
浜松から岡崎へ、受け継がれる家づくり
「サン工房」という名前を聞いて、太陽の「SUN」を思い浮かべる方も多いかもしれません。
けれど、サン工房の「サン」は太陽ではありません。
「○○さんの家」の「さん」。
一人ひとりの住まい手に寄り添い、その人のための家をつくる。
そんな思いから生まれた名前です。
サン工房のロゴにある橙色と藍色にも、家づくりに対する考え方が込められています。
現場と設計。
異なる専門性を持つ人たちが一緒になって、一棟の家をつくっていく。
そして今、そのサン工房の家づくりは、浜松から岡崎へとつながっています。
今回は、サン工房が歩んできた道のりと、岡崎に生まれた「サン工房・スタジオ」、そしてこれからについて、改めてお話しします。
1982年、設計事務所として始まったサン工房
サン工房の始まりは、1982年。
現在のような工務店としてではなく、建築設計事務所としてスタートしました。
住まい手の話を聞き、その人がどんな暮らしをしたいのかを考える。
敷地を読み、光や風を考え、暮らしに必要な空間を計画する。
そして、その考えを図面にして、施工は工務店に託す。
それが当時の仕事の形でした。
ところが、一邸一邸の家づくりを重ねる中で、少しずつ思いが変わっていきます。
設計した家が、実際にはどのようにつくられているのか。
素材がどのように扱われているのか。
図面に込めた思いが、現場で本当に実現されているのか。
「住まいづくりのすべてに、きちんと関わりたい。」
その思いから、1990年、サン工房は設計と施工の両方を担う会社へと再スタートしました。
これは、今のサン工房を考えるうえで、とても大切な転換点です。
設計だけでもない。
施工だけでもない。
考えることと、つくることを一つにつなぐ。
それがサン工房の家づくりの原点になりました。
「日本の家をつくる」ということ
サン工房が大切にしてきたのが、「日本の家をつくる」という考え方です。
それは、昔の日本家屋をそのまま再現するということではありません。
日本の気候や風土の中で、長い時間をかけて育まれてきた知恵を、現代の暮らしに合わせてもう一度考えること。
単なる「和風のデザイン」ではなく、日本の気候風土に合う合理的で機能的なデザインをとりいれ
強い日差しを遮り、雨を防ぎ、風を取り込み、外と内の間に豊かな場所をつくる。
日本の気候と暮らしに向き合ってきた先人たちの知恵です。
だからこそ、サン工房では「なぜ昔の家はこうなっていたのか」を考える。
古いものをそのまま残すのではなく、その中にある本質を見つけ、今の暮らしに生かしていく。
それが、サン工房の考える「日本の家」なのだと思います。
性能の先にあるもの
もちろん、家には耐震性や断熱性、気密性、耐久性といった性能が必要です。
安心して暮らし続けるために、性能はとても大切なものです。
けれど、サン工房が大切にしているのは、性能値だけではありません。
その先にあるもの。
家族がそこでどんな時間を過ごすのか。
どんな風景を見るのか。
どんな会話が生まれるのか。
どんな記憶が残っていくのか。
浜松のサン工房は、それを「場面」と表現しています。性能の先にある住まいの意味や価値、家族と共有した時間や風景を大切にしたいという考えです。
朝、障子越しに光が入る。
庭の木々が風に揺れる。
雨の日には、深い軒の下で雨音を聞く。
夕方、家族が自然と同じ場所に集まる。
そんな一つひとつの場面が、何年経ってもその家の記憶として残っていく。
私たちがつくりたいのは、そういう家です。
「間取り」ではなく「計画」
家づくりでは、「どんな間取りにしましょうか」という話から始まることがあります。
けれど、本当に大切なのは間取りだけではありません。
どんな土地なのか。
どこから光が入るのか。
風はどこを通るのか。
どんな暮らしをしたいのか。
予算をどこに使うのか。
どんな素材を選ぶのか。
誰がつくるのか。
サン工房では、こうしたことを含めて「計画、プラン」として考えることを大切にしてきました。資金、敷地、暮らし方、材料などを検討し、計画を積み重ねたうえで設計・施工へ進んでいくという考え方です。
だから、一枚の図面だけでは家づくりは語れません。
その図面の背景に、土地があり、家族があり、素材があり、職人がいる。
それらすべてを含めて、一つの家を考えていく。
そして、岡崎へ。

そんなサン工房の家づくりを、浜松だけでなく愛知県でも届けたい。
その思いから生まれたのが、サン工房・スタジオ岡崎です。
2020年6月、サン工房の関連会社として岡崎に誕生しました。
浜松で長年培われてきた「日本の家をつくる」という思想を受け継ぎながら、私たちは岡崎・三河という新しい土地で家づくりを始めました。
けれど、浜松の家をそのまま岡崎に持ってくることが目的ではありません。
家は、その土地によって変わるものだからです。
三河の気候。
この土地の光や風。
地域で育つ木。
この地域で仕事をする職人。
ここで暮らす人たち。
そうしたものと向き合いながら、「三河で暮らすための日本の家」を考えていく。
それが、岡崎スタジオの役割だと考えています。
浜松から受け継ぐもの
浜松と岡崎。
場所は違っても、大切にしたいものは同じです。
設計と現場が一緒になって考えること。
素材を大切にすること。
職人の技術を次の世代へつなぐこと。
日本の気候と暮らしに向き合うこと。
そして、住まい手一人ひとりの「○○さんの家」をつくること。
サン工房では、伝統的な職人技を単なる昔ながらの技術ではなく、性能であり、職人の技術力の証であり、地域の文化でもあるものとして捉えています。
その考え方は、岡崎でも変わりません。
むしろ、地域で家をつくる私たちだからこそ、これから大切にしていきたいものです。
2026年11月1日。
浜松と岡崎が、もう一度つながります。
そして、サン工房にとって新しい節目がやってきます。
2026年11月1日より、サン工房・スタジオ岡崎の代表を務める袴田英保が、浜松のサン工房の代表も兼任することとなりました。
浜松から始まったサン工房。
そして、岡崎で始まった新しい挑戦。
これまで別々の場所で積み重ねてきた経験や考え方を、これからはより密接につないでいきます。
浜松には、長年にわたって培われてきた技術や職人とのつながりがあります。
岡崎には、これから育てていく地域とのつながりがあります。
それぞれの土地で積み重ねてきたものを持ち寄ることで、サン工房の家づくりは、また新しい段階へ進んでいきます。
これからのサン工房へ
家をつくることは、建物を一棟完成させることだけではありません。
職人の仕事を残すこと。
地域の木を使うこと。
技術を次の世代へ渡すこと。
その土地らしい風景をつくること。
そして、その家で暮らす人の人生に寄り添うこと。
浜松のサン工房がこれまで歩んできた道のりは、一軒の家をつくることから始まり、やがて職人や地域、素材、人と人とのつながりへと広がってきました。
岡崎のサン工房・スタジオも、これからそんな存在になっていきたいと思っています。
家を建てることだけを目的にするのではなく、
「この街で、どんな家を残していきたいか」
を考える。
10年後、20年後、その先まで、
「この家を建ててよかった」
と思っていただける家をつくる。
そして、その家が街の風景の一部となり、次の世代へと受け継がれていく。
それが、私たちが目指す「日本の家」です。
サン工房から、サン工房・スタジオへ。
1982年、浜松で一つの設計事務所から始まったサン工房。
1990年には設計と施工を一体で担う会社へ。
そして2020年、岡崎にサン工房・スタジオが生まれました。
そして2026年11月。
浜松と岡崎をつなぐ新しい体制が始まります。
けれど、変わらないものがあります。
「○○さんの家」をつくること。
設計と現場が一緒になって考えること。
日本の家に受け継がれてきた知恵を、今の暮らしにつなげること。
そして、家をつくることを通して、人と地域の未来をつくっていくこと。
これまでのサン工房を大切にしながら、
これからのサン工房を、浜松と岡崎、それぞれの土地でつくっていく。
私たちは今、そんな新しい一歩を踏み出します。
浜松のサン工房についてはこちらをご覧ください。