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ブログ

コラムスタッフブログ

2026/10/09

昔ながらの塗料「柿渋」

なぜ、いまも愛され続けているのか

木の家に使われる塗料には、たくさんの種類があります。

オイル、ワックス、ウレタン、自然塗料……。

そのなかでも、昔から日本の暮らしのなかで使われてきた、少し変わった塗料があります。

それが**「柿渋」**です。

渋柿の汁を発酵・熟成させてつくる柿渋は、古くから木材や和紙、漁網、桶などに使われてきました。

防水・防腐などの性質を持ち、木を守りながら、時間とともに色が深くなっていく。

そして何より、ペンキのように「色を塗って仕上げる」のではなく、素材そのものの表情を残しながら、時間とともに味わいを育てていく。

そんなところに、現代の家づくりでも柿渋が選ばれる理由があります。


そもそも、柿渋とはどんな塗料?

柿渋は、まだ熟していない青い渋柿を搾り、その汁を発酵・熟成させてつくります。

柿渋に含まれる代表的な成分が**「柿タンニン」**。

このタンニンが木材などに浸透し、乾燥することで不溶性の成分を形成します。

昔の日本では、建築材だけでなく、桶や樽、和傘、うちわ、漁網など、さまざまなものを長持ちさせるために利用されてきました。

柿渋の色は、いわゆる「柿渋色」。

塗った直後から完成するのではなく、日光や時間の経過によって、徐々に黄褐色から赤褐色、さらに深い色合いへと変化していきます。

杉や桧など、木の種類によっても発色が異なります。

「新品の状態が完成」ではなく、暮らしながら少しずつ完成していく。

それも柿渋の面白さのひとつです。


自分でも塗れる?

実は、柿渋はDIYにも向いています

「自然塗料」というと、職人さんにお願いしないと難しそうな印象があります。

しかし、昔ながらの柿渋は、比較的シンプルな材料と道具で塗ることができます。

基本的には、

  • 塗装する木材
  • 柿渋
  • 刷毛やタンポ
  • ウエス
  • サンドペーパー

などがあれば施工できます。

例えば天然柿渋を扱うメーカーでは、刷毛塗りやタンポ塗りを基本的な方法として紹介しています。

また、製品によっては水で希釈して使うものもあります。

ただし、「柿渋なら何でも同じ」ではありません。

原液で塗るのか、希釈するのか。

一度塗りなのか、重ね塗りなのか。

木の種類や表面の状態はどうか。

製品ごとに施工方法が異なるため、実際に使用する際は必ずメーカーの施工要領を確認することが大切です。


柿渋は安全?

柿渋の魅力のひとつは、植物由来の素材からつくられていること。

天然柿渋のなかには、成分表示を「柿」とし、F☆☆☆☆登録や学校環境衛生基準に適合した製品もあります。

ただし、ここで注意したいのが、

「柿渋=どんな製品でも完全に同じ安全性」ではない

ということ。

現代の「柿渋塗料」には、昔ながらの柿渋そのものだけでなく、植物油や顔料などを組み合わせた製品もあります。

そのため、自然素材にこだわって塗料を選ぶ場合には、

原材料や成分、F☆☆☆☆などの表示を確認する

ことが大切です。

「自然塗料だから安心」と一括りにせず、どんな材料からできているのかを見る。

これは柿渋に限らず、自然素材を選ぶときの基本でもあります。


どんな場所におすすめ?

柿渋が特に似合うのは、やはり木の表情を楽しみたい場所です。

例えば、

・無垢の木の建具

木目を隠さず、少し深みのある色に仕上げたいとき。

・造作家具

年月とともに色が変化するため、新品の家具とは違った味わいが出てきます。

・梁や柱

木の存在感を残しながら、空間に落ち着いた色味を加えることができます。

・天井や板張り

杉や桧などの木材との相性もよく、和の空間だけでなく、現代的な住まいにも馴染みます。

・外部の木部

製品によっては外部木部にも使用できます。

ただし、雨や紫外線に直接さらされる場所では、製品ごとの耐候性やメンテナンス性を確認する必要があります。

例えば、上柿渋では、軒下など直接雨が当たらない場所は使用できる一方、雨が直接当たる場所では頻繁なメンテナンスが必要とされています。


水まわりにも使える?

ここは少し注意が必要です。

柿渋には昔から防水性があるとされ、実際に桶や和傘など、水に関わるものにも利用されてきました。

しかし、

「防水性がある=水まわりならどこでも使える」

というわけではありません。

洗面台やキッチン、造作家具など、水が飛び散る場所では、塗料そのものの耐水性だけでなく、どの程度の水にさらされるのか、どのようなメンテナンスをするのかまで考える必要があります。

例えばアットパーシモンでは、柿渋塗料のシリーズとは別に、「パーシモンワックス」を高撥水タイプとして水まわりにおすすめしています。

つまり、水まわりだから「柿渋はダメ」ということではありません。

むしろ、

使う場所に合わせて、柿渋+オイル+ワックスなど、適した仕上げを選ぶ

という考え方が大切です。

特に浴室内部や常時水がかかる場所、天板などは、DIYで判断せず、メーカーの適用範囲を確認することをおすすめします。


「塗るのが難しそう」という方へ

昔ながらの柿渋は比較的シンプルですが、塗装には少しコツがあります。

例えば、天然柿渋は木材に染み込ませるように塗るため、塗膜で覆う一般的なペンキとは仕上がりが異なります。

木目や樹種によって色の出方も変わります。

だからこそ、いきなり本番の壁や家具に塗らず、端材で試してみることがおすすめです。

実際に杉、桧、ナラなど、同じ塗料でも木によってどんな色になるのかを見比べてみる。

これは自然素材を使う楽しみのひとつでもあります。


【写真で紹介】柿渋を使った木部

ここでは、実際の施工例を写真で紹介します。

[写真①:柿渋を塗った無垢材の建具]

木目を残しながら、赤褐色の落ち着いた色合いに。

[写真②:柿渋を使った造作家具]

新しい木材にも、どこか古道具のような深みが生まれます。

[写真③:柿渋を塗った柱・梁]

構造材や化粧材の木の表情を残しながら、空間全体に落ち着きを与えます。

[写真④:経年変化の比較]

塗装直後と数年後。

少しずつ色が深くなっていくのも、柿渋ならではの魅力です。

柿渋は、メーカーによっても色の出方や経年変化が異なります。天然柿渋では時間とともに色が濃くなっていく製品がある一方、現代の柿渋系塗料には、あえて色変化を抑えたものもあります。


昔ながらの柿渋を、現代の暮らしへ

ここまで読んで、

「柿渋は好きだけど、あの茶色だけなの?」

と思った方もいるかもしれません。

実は、現代の柿渋塗料は、昔ながらの柿渋からさらに進化しています。

そのひとつが、私たちも注目している**「パーシモンカラーワークス」**です。


今、私たちが注目している「パーシモンカラーワークス」

パーシモンカラーワークスは、柿渋タンニンと植物由来の油などを組み合わせた現代の柿渋系自然塗料。

昔ながらの柿渋が持つ「木を生かす」という魅力を残しながら、現代の住宅で使いやすいようにつくられています。

特に面白いのが、カラーバリエーションの豊富さ。

現在、メーカーでは25色のカラーバリエーションを展開しています。

クリアやホワイト、ライトグレーといったニュートラルカラーから、ライトブラウン、オーク、ダークブラウン、ブルーグレー、ライトブルー、ネイビーブルー、グリーンなど。

「柿渋=茶色」というイメージからすると、かなり意外なラインナップです。


「木を塗りつぶす」のではなく「木を生かす」

サン工房が自然素材を使った家づくりをしているなかで、塗料についても大切にしたいのが、

木の質感を隠さないこと。

木には木目があり、節があり、樹種による色の違いがあります。

同じ杉でも一本一本表情が違います。

そこを均一な色で塗りつぶしてしまうのではなく、木の個性を残しながら、空間全体の色を整える。

パーシモンカラーワークスのような塗料は、そんな使い方にも向いています。

メーカーによると、木材に浸透するタイプの仕上げで、「木の呼吸」を妨げないことを特徴として挙げています。


柿渋の魅力は「古い」のではなく「時間を楽しめる」こと

新しい建材や塗料には、

「汚れにくい」
「変色しない」
「いつまでも新品のよう」

という性能を持つものもたくさんあります。

それはそれで、とても便利なことです。

一方で柿渋には、

時間が経つことを楽しむ

という考え方があります。

少しずつ色が深くなる。

木に艶が出る。

傷がついても、暮らしの跡として馴染んでいく。

新品の状態をずっと維持するのではなく、使いながら家と一緒に育っていく。

これは、日本の古い家や道具に受け継がれてきた美意識とも通じるものがあります。


「自然素材だから」だけではない、柿渋を選ぶ理由

柿渋を使う理由は、「天然だから安全」という一言だけではありません。

古くから使われてきた素材には、それだけ長い時間のなかで試されてきた理由があります。

防水や防腐などの機能。

木材の表情を生かす仕上がり。

時間による色の変化。

そして、傷や経年変化さえも味わいに変えていくこと。

そこに、現代の技術を組み合わせれば、昔ながらの素材を現代の暮らしに合わせて使うこともできます。

古いものをそのまま使うのではなく、先人の知恵を、今の暮らしに合わせてアップデートする。

柿渋は、そんな日本の家づくりに似合う素材のひとつなのかもしれません。

サン工房では、木や土、和紙など、昔から日本の住まいに使われてきた素材を、現代の暮らしの中でどう生かせるかを考えています。

塗料ひとつを選ぶときにも、単に「何色にするか」だけではなく、

「10年後、20年後、その家はどんな表情になっているだろう」

そんなところまで想像しながら、素材を選んでいきたいと考えています。


参考にした資料

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