2026/07/18
【光を和らげる】~木の家設計作法-其の574~
私たちが住まいを設計する際、間取りや動線と同じくらい……いえ、それ以上に大切にしているものがあります。それが「光の設計」です。
「明るい家」と聞くと、南側に大きな窓があり、部屋の隅々まで燦々と太陽が降り注ぐ空間をイメージされるかもしれません。しかし、夏の強い直射日光は時に眩しすぎたり、部屋を暑くしすぎてしまったりすることもあります。
私たちが目指すのは、ただ明るいだけの家ではありません。 外の自然な光を、建築の工夫によって一度受け止め、「やわらかい光」に変えて室内に迎え入れること。今回は、私たちの設計作法の一つである「光をやわらげる」工夫についてお話しします。
■ 深い軒(のき)がつくる、光のクッション
光をやわらげるための第一の工夫は、住まいの外側にあります。それが「深い軒」です。
日本の四季において、夏の高い太陽光は室内に入れないように遮り、冬の低い太陽光は住まいの奥まで採り入れる。この絶妙なコントロールを、深い軒が担っています。 窓の外に一枚、深い庇(ひさし)や軒があることで、直射日光が直接部屋に突き刺さるのを防ぎ、庭の緑をくぐり抜けた心地よい木漏れ日だけを室内に届けてくれます。
■ 素材が光を「ろ過」し、優しく拡散する
室内に一歩足を踏み入れたとき、どこかホッとする落ち着きを感じる理由。それは、内装に使う「素材」にあります。
サン工房・スタジオの家では、無垢の木や珪藻土、漆喰といった自然素材を大切にしています。 現代の一般的な住まいに多いビニールクロスなどは光をパキッと強く反射(正反射)してしまいますが、無垢の床や職人が塗った壁は、表面の微細な凹凸が光を優しく吸収し、乱反射(拡散)させてくれます。
光が素材によって「ろ過」され、空間全体にじんわりと行き渡る。だからこそ、目を細める必要のない、身体に優しい明るさが生まれます。
■ 「障子」という、光を和らげる装置
そして、光をやわらげる日本の優れた知恵といえば「障子(しょうじ)」です。
障子は、外からの強い光を均一で柔らかな「拡散光」へと変えてくれる、天然の光を和らげる装置のような役割を持っています。 障子を閉めていても室内は十分に明るく、それでいて影の輪郭が曖昧になるような、包み込まれるような静けさが生まれます。和室だけでなく、現代の暮らしのリビングに障子を取り入れるのも、私たちが大切にしている設計の手法です。
まぶしさではなく、心地よさを採り入れる
私たちは、一日の大半を過ごす住まいだからこそ、神経を刺激するような眩しさではなく、心が穏やかになるような光の佇まいをつくりたいと考えています。
朝、障子越しに部屋がじんわりと明るくなる心地よさ。 昼下がり、深い軒下を通って無垢の床に落ちる静かな影。
私たちの完成見学会や住みごこち見学会では、この「やわらかな光」がもたらす空気感を実際に体感していただけます。ぜひ、お天気の良い日も、少し曇った日も、それぞれの美しさを持つ光の表情を感じにいらしてください。
皆様のご来場を、心よりお待ちしております。
サン工房・スタジオ代表:袴田英保

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