メニューを開く

メガメニュー を開く

このページの先頭にもどる

メガメニュー を閉じる

ブログ

2026/06/06

【軒の高さを抑える】~木の家設計作法-其の569~

「日本の家らしさ」を考えた時、ひとつの大きなポイントとして挙げられるのが、軒の高さではないでしょうか。

茶室や京都などの町家においては、軒先の高さは頭すれすれだったり、手を伸ばしせば届く高さにあります。

そのような軒の高さによって、軒先に優しさのようなものを感じ、親近感や入りたくなる感覚を覚えるのではないでしょうか。


「好文木の家」(軒先が綺麗な家) 詳しくはこちら

または日本人が感覚的に持っている「日本の家らしさ」も感じるのではないかと思います。

現代の住宅の仕様ですと、現代人の背の高さにあった開口部の高さや、床下の点検の為の高さも必要です。

住宅設計において、軒の高さ(軒高:のきたか)をあえて低く抑えることには、デザイン面(意匠)だけでなく、性能面やコスト面、さらには近隣関係にまで多くのメリットがあります。

主な効果をいくつかの視点に分けて解説します。


1. 意匠・デザイン上の効果

  • 落ち着きのある「和」や「モダン」の佇まい 建物の重心が下がるため、どっしりとした安定感が生まれ、地面に馴染むような美しいプロポーションになります。特に和風住宅や平屋、あるいは「和モダン」なデザインを目指す場合、軒高を抑えるのは非常に有効な手法です。

  • 圧迫感の軽減 建物全体のボリュームが小さく見えるため、周囲に威圧感を与えない優しい外観になります。

2. 室内環境・性能面への効果

  • 日射遮蔽(夏の暑さ対策)の強化 軒高を低くすると、同じ軒の出(長さ)であっても、窓のより低い位置まで日陰を作ることができます。これにより、夏の厳しい直射日光を効果的に遮り、室内の温度上昇を抑えることができます。

  • 雨がかりの軽減 外壁やサッシに雨が直接当たる面積(特に窓の上部など)が減るため、雨漏りリスクの低減や、外壁の汚れ・劣化の防止につながります。

3. コスト・メンテナンス面への効果

  • 建築コスト(材料費・施工費)の削減 柱を短くし、外壁の面積を減らすことができるため、木材、断熱材、外壁材などの材料費を抑えられます。また、足場の架設費用や施工の手間もわずかに削減できる場合があります。

  • 将来のメンテナンス費用の抑制 外壁の総面積が少なくなるため、将来的な外壁の塗り替えやサイディングの張り替え時のメンテナンスコストを抑えることができます。

4. 法規制・近隣関係への効果

  • 北側斜線制限・高度地区制限の回避 敷地が狭い場合や厳しい斜線制限があるエリア(第一種低層住居専用地域など)では、軒高を抑えることで、お隣の敷地に落とす影を減らし、法規制をクリアしやすくなります。

  • 近隣への配慮(日照や通風の確保) 近隣住宅の日当たりや風通しを遮りにくくなるため、周辺環境と調和しやすく、近隣トラブルの予防にもなります。


⚠️ 注意点(デメリット)

軒高を抑えることには多くのメリットがありますが、以下の点には注意が必要です。

  • 室内の天井高や開放感とのバランス: 2階建ての場合、2階の天井高が低くなったり、窓の高さ(サッシ高)が制限されたりすることがあります(※勾配天井にして縦の開放感を出すなどの工夫でカバー可能です)。

  • 冬場の日射取得: 夏の日射を遮る反面、冬に部屋の奥まで光を入れたい場合に、軒が低すぎると逆効果になることがあります。地域の気候や方位に合わせた絶妙な設計バランスが求められます。

よって現代では、以前の日本の家のような高さで設計することはなかなか難しいかもしれませんね。

しかしながら今後も軒の高さは大事に設計したいと思います。

サン工房・スタジオ代表:袴田英保


「行雲流水の家」(矩計スケッチ)

お問い合わせ

心より、皆様をお待ちしております。

お電話でのお問い合わせ

株式会社サン工房・スタジオ 
〒444-0921 愛知県岡崎市中岡崎町6番地1 
営業時間 / 9:00 ~ 18:00