木造住宅で大事なこと【軒の役割-1】~木の家設計作法-其の464~
私達は設計において、なるべく軒の出をしっかり取ります。
その理由は、日本の気候風土にあります。
その中でも第一の理由は、日本は雨が多い国ですから、
その雨から建物を守ってあげるという理由です。
軒の出が少ないということはその分、外壁に雨が当たる割合が多くなり
壁の仕上げを痛めると同時に、漏水の危険性を高めます。
実は私の家は、軒ありの板張り部と軒無しの塗壁部で構成することにより、
どちらが早く劣化するかを実験しようと思い設計したのですが、
軒無しの塗壁部の汚れと劣化がひどく、15年で塗り替えをした経験があります。
「夢野路の家」(自邸) 詳しくはこちら
その経験により私は、家を長持ちさせるための軒の出の大切さを改めて痛感いたしました。
そしてもう一つの大きな理由は、四季の違いによる室内に入る日射の調節を図ることです。
夏と冬の太陽高度と軒の出の関係性を設計段階で意識することで
夏は日射を遮り、冬はできるだけ日射を入れる。
現在、私達は数値的にもパッシブデザインといえる家になるような軒の出とは
どのくらいの長さと高さにすれば良いのかを、
温熱環境の専門家とも相談しながら検討しています。
これからもデザイン、長持ち、パッシブデザインという総合的な観点で
最適な軒の出を一軒一軒検討していきたいと思います。
代表:袴田英保