美しい日本の建築【不揃いの美】~木の家設計作法-其の359~
中国や西洋の大陸文化の寺院などの建築物は、
「左右対称均整の美」の概念で造られているものが多いと思います。
紫禁城 中国
ノートルダム大聖堂 フランス
一方、日本文化においての数寄屋や茶室の造形や建築物は、
「左右非対称の不揃いの美」によって造られているものが多いと言われています。
桂離宮 京都
国宝茶室 如庵 京都
その考え方としては、万物の姿は自然体の不揃いの姿そのもので、無心の自然体に、
目立たぬさりげない美しい作意を加えることによってできたものが美しいとされる文化です。
「二人静の住居」(夫婦二人で住む平屋・板張りの家) 詳しくはこちら
よって、外形的な面においては、格式・形式に捉われない臨機応変・自由な発想により形づけられています。
茶室の床の間ひとつとっても、「凹みのある床の間」もあれば、ただ室内の壁に見立てる「壁床」もあります。
「縁園の家」(現代数寄屋の家・庭と一体の家) 詳しくはこちら
このように日本の造形の文化は単純ではなく、本当に奥深いものです。
まずは多くの日本の造形美を知ることで、私たちの現代の「日本の家」づくりに励んでいきたいと思います。
代表 袴田英保