松樹千年翠の家

しょうじゅせんねんみどりのいえ
常に緑を保っている松とは、万古不易の真実の象徴であるという意味。
掛舞線を走っていると白羽町の交差点から大きな松が見えました。樹齢で言えば百数十年の大きなシンボルでした。敷地内に大きな平屋の母屋がありましたが、いよいよ耐久性の問題もありお建て替えの計画となりました。解体が始まり、瓦屋根を下ろすと文久元年のものであるというのがわかりました。
身の引き締まる思いで、設計していく中で、繊細な格子の5尺7寸の建具や、二間続きの和室に使用していた欄間の状態が良く、再利用する事としました。
建替えを察知したのか不思議だったのですが、シンボルの松が虫がついて枯れてしまったのです。その大径木の松を、式台や、床板や、座卓などに、形は変わりましたが、新しい家の一部となってお施主様の身近に感じていただくよう使用いたしました。その場所で長きに渡り使用されてきた古き良きもの、その場所で育った松、面影を残しながら新たな家が完成しました。