コラムスタッフブログ
2026/11/06
リビングに大きなソファは必要?自分に合った心地よいくつろぎ方の見つけ方
家づくりを始めると、なんとなく思い描く「広いリビングに、大きなソファのある暮らし」。
住宅雑誌やSNSで見かける素敵なリビングには、ゆったりとしたソファが置かれていることも多く、家を建てるなら当然必要なもの、という感覚で考えている方も少なくありません。
でも、ちょっと立ち止まって考えてみてください。
あなたが本当に望んでいるのは、大きなソファのあるリビングでしょうか?
それとも、家族と何気ない会話を楽しんだり、庭を眺めながらお茶を飲んだり、好きな姿勢で本を読んだりできる、心からくつろげる場所でしょうか。
私たちは、家づくりにおいて「なんとなく欲しい」という気持ちを、そのまま形にするのではなく、どうしてそれが欲しいのか、どんな暮らしをしたいのかまで考えてみることが大切だと思っています。
今回は、リビングでの過ごし方を見つめ直しながら、自分たちに合ったくつろぎ方と、ソファにとらわれない居場所のつくり方について考えてみたいと思います。
① 広い空間よりも、心が落ち着く居場所を考える

まずはじめに、普段の自分の過ごし方を思い返してみてください。
家にいるとき、あなたはどんな場所でくつろいでいますか?
ソファの真ん中に座るよりも、部屋の隅や壁際に寄りかかっていたり、壁を背にして床に寝転がっていたり。
広い空間の真ん中よりも、どこかに背中を預けられる場所のほうが落ち着く、という方も多いのではないでしょうか。
例えば、コメダ珈琲店を思い浮かべてみてください。
店内には人が行き交い、周囲の話し声も聞こえてきます。それなのに、腰壁でほどよく囲われた席に座ると、なぜだか妙に落ち着きませんか?
背中側に人が通らず、視線も適度に遮られ、ゆったりとした椅子に身を預けられる。
完全に閉じられているわけではないけれど、ほどよく守られているような感覚があります。
人は、ただ広く開放的な場所であれば落ち着くというわけではありません。背後に壁があることや、視線が適度に遮られること、身体を預けられるものがあることも、安心感につながります。
だからこそ、広いリビングの真ん中に大きなソファをぽつんと置くよりも、壁際に寄せたり、造作家具や腰壁と組み合わせたりして、少し囲われた居場所をつくるほうが心地よい場合もあります。
また、家族構成によっても必要な広さは変わります。
大家族であれば広いリビングに大きなソファが活躍するかもしれませんが、夫婦二人の暮らしや、子どもが成長して家族それぞれの時間が増えていく暮らしでは、必ずしも大きなスペースが必要とは限りません。
広い空間を確保したものの、実際に過ごす場所はいつも決まった一角だけ。そんなこともあるでしょう。
さらに、空間に対して背もたれの高い大きなソファを置くと、家具だけが強く主張してしまい、建築とのバランスがしっくりこないこともあります。
大切なのは、広さそのものではなく、そこでどんな姿勢で、どんな気持ちで過ごしたいのか。
「広いリビングが欲しい」という希望の先にある、本当に落ち着ける空間を考えてみてほしいと思います。
② くつろぐ場所はリビングのソファだけではない

リビングでくつろぐと聞くと、テレビの前にソファを置く光景を思い浮かべがちですが、くつろぎ方はそれだけではありません。
例えば、窓から見える庭や景色を眺めることが好きな方。
そんな方には、窓辺に造作のベンチを設けるのもおすすめです。
カフェに行くと、ついつい窓際の眺めの良い席を選んでしまうことはありませんか?
外を眺めながらコーヒーを飲んだり、本を読んだり、何も考えずにぼんやり過ごしたり。
家の中にも、そんな場所があったら素敵ですよね。
窓辺にベンチを設ければ、座る場所をつくるだけでなく、外の景色を暮らしの一部として取り込むことができます。
もちろん、窓の位置や高さ、外からの視線への配慮も大切です。
道路や隣家からの視線を避けながら、庭の緑や空を眺められるように窓を計画すれば、そこは自分だけの特等席になります。
また、ベンチは必ずしも独立した家具である必要はありません。
壁から壁へとつながる造作家具にしたり、窓台を少し広くして腰掛けられるようにしたり、階段脇やダイニングの一角に小さな居場所をつくったり。
建築の一部として居場所を設けることで、家具を増やしすぎず、空間にも自然に馴染ませることができます。
リビングという一つの大きな場所をつくるだけでなく、家の中に小さな居場所をいくつか散りばめてみる。
そんな考え方も、心地よい住まいづくりのひとつです。
③ 大きなソファより、一人ひとりが好きな場所でくつろぐ

家族みんなでテレビを見ることが多いご家庭なら、大きなソファはとても便利です。
一方で、夫婦二人の暮らしや、子どもが成長して家族それぞれの時間を大切にする暮らしでは、必ずしも大きなソファが最適とは限りません。
お父さんはお気に入りの椅子で読書をし、お母さんは窓辺でコーヒーを飲む。子どもは床に寝転がって本を読む。
それぞれが好きな場所で、好きな姿勢で過ごせる。
そんな暮らしも素敵だと思います。
その場合は、大きなソファを一つ置くよりも、一人掛けや二人掛けのラウンジチェア、造作ベンチなどを組み合わせるほうが、暮らしに合っていることもあります。
また、家具の数や大きさを抑えることで、床や壁、窓から見える庭など、住まいそのものの魅力も感じやすくなります。
ここでは、そんな暮らしに取り入れてみたい椅子をいくつかご紹介します。
持ち運べる、自由な居場所「ニーチェアエックス」
折りたたみができ、軽量で持ち運びもしやすい新井猛さんデザインのニーチェアエックス。
室内でくつろぐのはもちろん、天気の良い日にはウッドデッキに持ち出して、外で過ごす時間を楽しむこともできます。
いつも同じ場所に家具を置いておくのではなく、その日の気分や天気に合わせて居場所を変えられるのが魅力です。
庭を眺めながら日向ぼっこをしたり、夕暮れの風を感じたり。
暮らしの中に、ちょっとした自由をつくってくれる椅子です。
空間を引き締める存在感「CUERO BKFチェア」
包み込まれるような座り心地と、革の表情が魅力のBKFチェア。
ゆったりと身体を預けられる一方で、細いスチールフレームによる軽やかなデザインが特徴です。
存在感のある家具でありながら、重厚になりすぎず、木や塗り壁など自然素材を使った空間にもよく馴染みます。
リビングの一角に置いて、読書や音楽を楽しむ自分だけの場所にするのも素敵ですね。
日常のくつろぎを豊かにする「CH290」
CARL HANSEN & SONのCH290は、ハンス・J・ウェグナーがデザインしたラウンジチェア。
ゆったりとした座面と身体を支える背もたれ、木製フレームの美しさが特徴です。
いわゆるソファとは違った、椅子ならではの独立したくつろぎを楽しめます。
お気に入りの照明やサイドテーブルと組み合わせれば、そこだけで一つの小さな居場所が生まれます。
長く使い続けることで、暮らしの風景に馴染んでいく。そんな家具を選ぶのも良いですね。
必要なときに、さっと広げる「吉村順三のたためる椅子」
建築家・吉村順三がデザインした、たためる椅子。
使わないときにはコンパクトに収納でき、必要なときに取り出して使うことができます。
家具を常に置いておくのではなく、必要なときに必要な場所へ。
普段はすっきりとした空間を保ちながら、来客時や気分を変えたいときには居場所を増やすことができます。
暮らしに余白を残しておく、そんな考え方にもよく似合う椅子です。
④ ソファを選ぶ前に、暮らしの風景を想像してみる
ここまで、ソファにとらわれないリビングのつくり方をご紹介してきました。
もちろん、大きなソファが悪いわけではありません。
家族みんなで横になって映画を見たり、子どもと一緒に絵本を読んだり、休日に何もせずごろごろしたり。
そんな時間が好きな方にとっては、大きなソファが最高の居場所になるでしょう。
大切なのは、家具を置くこと自体を目的にしないことです。
例えば、家づくりの打ち合わせでは、こんなことを考えてみてください。
・休日の朝、どこでコーヒーを飲みたいですか?
・本を読むときは、どんな姿勢が落ち着きますか?
・家族みんなで過ごす時間と、一人で過ごす時間はどちらが多いですか?
・テレビを見ることが多いですか?それとも庭や外の景色を眺めることが好きですか?
・床に座ったり、寝転がったりすることはありますか?
こうした日常の何気ない行動を掘り下げていくと、自分たちに必要なリビングの広さや家具の大きさ、窓の位置や居場所のつくり方が見えてきます。
建築に合わせて家具を選ぶこともあれば、好きな家具を中心に空間を考えることもあるでしょう。
大切なのは、家具と建築を別々に考えるのではなく、そこで過ごす時間を一緒にデザインすることです。
まとめ|大きさではなく、心地よさでリビングを考える
広いリビングに大きなソファ。
それは、家づくりを考えるときに思い描きやすい、ひとつの理想の形なのかもしれません。
けれど、豊かな暮らしは必ずしも広い空間や大きな家具から生まれるものではありません。
窓辺の小さなベンチで庭を眺める時間。
お気に入りの椅子でゆっくりと本を読む時間。
家族それぞれが好きな場所で、思い思いに過ごす時間。
そんな何気ない日常の中にこそ、その人らしい心地よさがあるのではないでしょうか。
私たちサン工房・スタジオが大切にしているのは、単に広さや形を整えることではなく、住まう人の暮らしを紐解き、その人にとって本当に心地よい住まいを考えること。
リビングに何を置くかを考える前に、そこでどんな時間を過ごしたいのかを考えてみる。
「なんとなく欲しい」から一歩踏み込んで、自分たちに合ったくつろぎ方を見つけてみませんか?
きっと、あなたの暮らしにちょうどいいリビングの形が見えてくるはずです。