代表ブログ設計作法
2026/08/22
木造住宅工務店豆知識【土庇空間】~木の家設計作法‐其の579~
現代の家づくりでは、ウッドデッキや濡れ縁(ぬれえん)をつくることはあっても、「土庇(どびさし)」という空間を単独で設けることは少なくなりました。
その理由のひとつには、「現代住宅の床の高さ」があります。 ベタ基礎などの出現や、床下の点検経路を確保するために床面が高くなったことで、室外へ出るにはデッキや濡れ縁のような「段差を和らげる外部床」がある方が、出入りしやすくなったからです。
内と外を極限まで近づける「土庇」のルーツ
「土庇」と聞くと、茶室の躙口(にじりぐち)の前にある、低く抑えられた庇の下の空間をイメージされる方が多いかもしれません。低い庇にくぐもり、室内の敷居をまたげば、そこはもう「外(土間)」という距離感の空間です。
限られた室内空間をやりくりしながら、内と外の境界に「内部でも外部でもない曖昧な余白」をつくり、少しでも自然の豊かさを室内に取り込みたい——。 そう考えた先人たちが、縁側の床板をあえて外し、土間に落とし込んだことから生まれたのが、土庇空間の本質なのではないでしょうか。

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現代の家づくりに活かす「土庇」の豊かさ
床高が高くなった現代の家でも、設計の工夫しだいで魅力的な土庇空間をつくることは十分に可能です。
あえて高さを抑えた深い庇の下に土間を設けて、雨を気にせず鉢植えの手入れをしたり、ちょっと腰をかけて風を感じたりする。
高気密・高断熱で室内を快適に保てる時代だからこそ、こうした「自然とダイレクトにつながる曖昧な外部空間」が、暮らしに心から寛げる豊かさをもたらしてくれます。
サン工房・スタジオ代表:袴田英保

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