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2026/05/14
20年後に差が出る素材選び|ナフサショックで広がる自然素材と新建材の価格差

家づくりにおいて「素材選び」は、これまで以上に重要な判断軸になっています。
特に2026年5月現在はナフサショック(石油化学原料の高騰・供給不安)の影響により、住宅の建築コスト構造そのものが変化しています。
その結果、自然素材と新建材の“価格差”と“将来価値の差”が同時に拡大しているのが現状です。
ナフサショックとは?住宅業界への影響
ナフサとは、原油から精製される石油化学製品の基礎原料で、プラスチック・樹脂・塗料・断熱材などの元になります。
現在起きているナフサショックでは、以下のような影響が住宅業界に出ています。
- 断熱材(発泡系)の40〜50%値上げ
- 塩ビ管など配管材の12〜20%値上げ
- 塗料・接着剤・防水材の大幅上昇
- ユニットバス・設備機器の納期不安定化
特に影響が大きいのは、新建材の多くが石油由来である点です。
そのため住宅全体のコストが一斉に上昇しています。 (リフォーム補助金ナビ)
新建材の価格が上がり続ける理由
新建材の多くは以下のような石油化学製品で構成されています。
- ビニールクロス(塩ビ樹脂)
- フローリング(樹脂コーティング)
- 断熱材(発泡スチレン・ウレタン)
- 配管材(塩ビパイプ)
- 塗料・接着剤
これらはすべてナフサ由来のため、原料価格が上がると連動して住宅コスト全体が上昇する構造です。
さらに特徴的なのは、
一部だけではなく「家全体のあらゆる部位」に同時に影響する
という点です。 (新ケンハウジング)
自然素材はなぜ価格影響を受けにくいのか
一方で、自然素材(無垢材・漆喰・珪藻土など)は構造が異なります。
- 無垢材:木材そのもの(加工は必要だが石油依存が少ない・輸入木材は輸送費コストによる影響は有)
- 漆喰:石灰石由来
- 珪藻土:天然鉱物由来
- セルロースファイバー、シュタイコなどの木質系断熱材
配送費等の影響はありますが、これらは石油化学原料への依存度が低く、国内で賄える素材もおおいため、ナフサショックの直接的影響を受けにくいという特徴があります。
結果として現在は、
- 新建材 → 原料高騰で価格上昇
- 自然素材 → 相対的に価格安定
という構図が生まれています。
いま起きている「価格差の逆転現象」
以前は一般的に、
- 新建材=安い・コスト重視
- 自然素材=高い・高級仕様
というイメージがありました。
しかし現在は状況が変わりつつあります。
● 新建材
- 原料高騰の影響を強く受ける
- 製品ごとの値上げが頻発
- 仕様変更リスクが増加
● 自然素材
- 価格変動が比較的緩やか
- 長寿命でメンテナンスコストが安定
- 経年変化により価値が下がりにくい
その結果、初期費用の差が縮小し、数十年後までのメンテナンスを含めたトータルコストでは自然素材が有利になっていくことがじゅうぶん考えられるのが現在の状況です。
20年後に差が出るのは「初期価格」ではない

素材選びで重要なのは、今の価格だけではありません。
むしろ20年後には、次の差が顕著になります。
- メンテナンス費用の差
- 交換・修繕の頻度
- 経年劣化のスピード
- 室内環境の快適性
新建材は「初期の美しさ」を維持するために更新が必要になる一方で、自然素材は時間とともに味わいが増していきます。
これからの家づくりに必要な視点
ナフサショック以降、住宅の素材選びは次の2軸で考える必要があります。
① 価格軸(短期)
・初期コストを抑えるかどうか
※特にこだわりがないのであれば定期的に交換が必要なエアコンや、トイレなどの設備関係はシンプル機能のものや旧型・クローズ品にするなど
② 価値軸(長期)
・数十年後に快適性と維持コストがどうなるか
※長く使えるもの、経年変化、メンテナンスが容易であるものに予算をとると◎
家づくりの要望も譲れるもの・譲れないものを整理する。
特にこれからは、「安い素材を選ぶこと=正解」とは限らない時代に入っています。
まとめ|素材選びは“価格”から“時間価値”へ

ナフサショックにより、新建材の価格は今後も不安定に推移する可能性があります。
一方で自然素材は、価格・性能・経年変化のバランスにおいて再評価が進んでいます。
その結果、家づくりの判断軸は次のように変わりつつあります。
- × 今いくらで建てられるか
- ○ 数十年後にどうなっているか
素材選びとは、単なる仕様決定ではなく、未来の暮らしの質を決める投資判断です。
(スタッフ/ササキ)