2026/08/01
【家で楽しむ/コロナ禍を経て辿りついた、豊かな住まいのカタチ】~木の家設計作法-其の576~
コロナ禍をきっかけに、私たちの暮らし方は大きく変わりました。
外出を控える時間が増えたことで、「家は単に寝に帰る場所ではなく、一日中を心地よく過ごす場所である」と改めて実感された方も多いのではないでしょうか。
住まいに対する価値観が再定義された今、私たちが大切にしたいのは「家の中でいかに心豊かに楽しむか」という設計の視点です。
■「お籠もり」から「ウチ開き」へ
かつての自粛期間中、家は外部から身を守る「籠もる場所」としての役割が強く求められました。しかし暮らしが落ち着いた現在、その経験を経て「家にいながら開放感を得たい」「おうち時間をより充実させたい」というポジティブな過ごし方が定着しています。
木の家づくりにおいて、私たちが提案する「家を楽しむための設計作法」には、いくつかのポイントがあります。
1. ウチとソトをゆるやかにつなぐ
庭の緑や四季の移ろいを室内に取り込む工夫です。大きな掃き出し窓や縁側、ウッドデッキを設けることで、視線が外へと抜け、限られた敷地であっても驚くほどの開放感が生まれます。休日にデッキでコーヒーを飲んだり、庭の緑を眺めながら読書をしたり……日常の何気ない時間が、特別なリラックスタイムに変わります。
2. 五感で味わう自然素材の温もり
無垢の木や漆喰などの自然素材は、経年変化とともに味わいを増していきます。手に触れたときの温かみ、ほのかに香る木の匂い、光の当たり方で表情を変える壁。家にいる時間が長くなってもストレスを感じにくいのは、自然素材が持つ優しくおおらかな空気感があるからです。
3. 多用途に使える「余白」をつくる
「リビング」「寝室」と役割をきっちり分けすぎず、多様な使い方を受け止める「余白」の空間をつくることも大切です。ちょっとしたワークスペースや、ホールの一角に設けたベンチ、小上がりの畳空間。その日の気分や家族の成長に合わせて、フレキシブルに居場所を選べる工夫が、家での楽しさを一層広げてくれます。
■これからの「木の家」のカタチ
世の中の環境が変わっても、自然の力を受け入れ、木の温もりに包まれて暮らす心地よさは変わりません。
むしろ、家で過ごす時間の価値が高まった今だからこそ、住まい手一人ひとりの「楽しみ方」に寄り添った丁寧な設計作法が求められていると感じます。
「家で過ごす時間が一番好き」 そう思っていただけるような、豊かで愛着の湧く木の家を、これからも皆様と一緒に作っていきたいと考えています。
サン工房・スタジオ代表:袴田英保

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