代表ブログ設計作法
2026/07/25
【坪庭小さな大自然】~木の家設計作法-其の575~
私たちがご提案する「木の家」は、たった一棟の建物を指すのではありません。 木の香りに包まれる室内、窓の外に見える季節の移ろい、そしてそれらを繋ぐ心地よい風と光。すべてが調和して、はじめて「豊かな暮らし」が生まれます。
そんな設計において、私たちが大切にしている作法の一つが「坪庭(つぼにわ)」です。 限られた敷地であっても、住まいの中心や視線の先に小さな庭を据えることで、そこには文字通り「小さな大自然」が広がり始めます。
坪庭がもたらす「心地よさ」の設計
1. 暮らしに「抜け」をつくる
特に街中の敷地や平屋の設計において、周囲の視線を遮りながら、いかに開放感を得るかは大きなテーマです。 外に対しては壁や格子で閉じつつ、内側に向かって坪庭を開く。すると、視線が奥へと抜け、実際の坪数以上の広がりを感じることができます。
2. 光と風の「通り道」
家の中心に設けた坪庭は、光の井戸となり、風の通り道となります。 日が落ちるのが早い季節でも、上部から柔らかな光を室内の奥深くまで届けてくれる。そして、窓を開ければ、坪庭を抜けて心地よい風が家中を巡ります。機械に頼りすぎず、自然の摂理を住まいに取り入れる知恵が、ここにはあります。

格子越しに愛でる、私だけの風景
木の家には、日本の伝統的な「格子(こうし)」がよく似合います。 坪庭を格子で緩やかに仕切ることで、外からの視線を遮りつつ、中からは美しい緑が切り取られた絵画のように浮かび上がります。
雨が降れば、葉の上がきらきらと輝き、 風が吹けば、ささやかな葉擦れの音が室内に聞こえてくる。
植栽は、あえて作り込みすぎず、一本の落葉樹と足元の苔や山野草、そして自然石を添えるくらいがちょうどいい。 ほんの数歩の小さな空間ですが、そこに宿る四季の気配は、果てしなく広がる山林のそれと何ら変わりありません。

「小さな家の豊かさ」を愉しむ
「敷地が狭いから、庭なんて諦めるしかない」
そう思われている方にこそ、坪庭の力を知っていただきたいのです。 部屋の面積を少し削ってでも、窓の外に「小さな大自然」を配置する。その選択が、結果としてリビングでの時間を何倍も贅沢なものに変えてくれます。
木の床に座り、お茶を飲みながら、坪庭の緑を眺める時間。 それこそが、私たちが設計を通じてお届けしたい「豊かな住まい」の原点です。
皆様もぜひ、ご自身の住まいに「小さな大自然」を招き入れてみませんか。
サン工房・スタジオ代表:袴田英保

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