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ブログ

2026/07/04

【住まいづくりと日本人の感性】~木の家設計作法-其の572~

「日本の家をつくる」と謳わせていただいている以上、「日本人の感性」に合ったものづくりをしなければと常に思っています。

ではその「日本人の感性」とはどのようなものなのでしょうか。

日本人が歴史のなかで育んできた「住まいづくり」には、自然をコントロールしようとするのではなく、「自然といかに調和し、住まいのなかに取り込むか」という独特の感性が息づいているのではないかと思います。

日本の気候風土、そして日本人の美意識がどのように住まいに表現されてきたのか、いくつかの視点から紐解いてみたいと思います。

1. 内と外をあいまいに繋ぐ「中間領域」

西洋の伝統的な石積みの建築が「壁」で内と外を厳密に隔てるのに対し、日本の伝統的な木造建築は「柱と梁」で構成され、空間を優しく仕切ります。

  • 縁側(えんがわ): 室内でもあり庭でもある、日本特有の中間領域です。深い軒(のき)が夏の強い日差しを遮り、冬の低い日差しは室内の奥まで引き込みます。

  • 障子と襖(ふすま): 光を完全に遮断するのではなく、和紙を通して柔らかい「陰影」として室内に届けます。また、取り外すことで空間を一体化させ、風を家全体に通すことができます。

2. 経年変化を愛でる「素材への感性」

均一で変わらない美しさよりも、時間の経過とともに味わいが増していく自然素材を好むのも、日本人の大きな特徴です。これには「無常観(すべてのものは移り変わる)」という精神性も深く関わっています。

  • 無垢の木材: 年月を経て色艶が深まり、足裏に馴染んでいく感覚を心地よいものと捉えます。

  • 土壁や和紙: 調湿性に優れ、室内の空気を優しく整えるだけでなく、光の反射を和らげて落ち着いた空間を作り出します。

3. 暮らしのなかに自然を写す「見立ての美」

限られた空間のなかにも、四季の移ろいや自然の雄大さを感じようとする繊細な感性があります。

  • 格子(こうし): 外からの視線を遮りながらも、光と風、そして外の気配(気配や緑の揺らめき)を室内に緩やかに届けます。

  • 借景(しゃっけい): 窓を額縁に見立て、庭の木々や遠くの山を室内のインテリアの一部として取り込みます。

「徒然草」の一節にみる原点 鎌倉時代の随筆『徒然草』において、吉田兼好は「家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬は、いかなる所にも住まる。暑き比わろき居様は、堪へがたき事なり」と記しました。 湿度の高い日本の夏をいかに快適に過ごすかという工夫が、日本の住まいづくりの原点であり、それが現代のパッシブデザイン(自然エネルギーを活かす設計)にも通じています。

現代の家づくりにおいても、高気密・高断熱という現代の性能を備えつつ、こうした「木、紙、土」の質感や「内と外の繋がり」といった日本人の感性を五感で感じられる住まいは、私たちの心に深い安らぎを与えてくれます。

これからも私たちは日本人の感性に訴えかける「日本の家」を作り続けていきたいと思います。

サン工房・スタジオ代表:袴田英保


「縁園の家」(現代数寄屋の家・薪ストーブがある家) 詳しくはこちら

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