設計作法
2026/04/11
【穏やかな空間づくり】~木の家設計作法-其の562~
ダイニングやリビングなど、くつろぐ場においては、時間がゆったりと流れるような穏やか空間になるように考えます。
そのためには、設計初期の矩計図面での検討で、空間の高さが心地良いものになるように検討したり、軒の出や障子で日射を調整できるようにします。
また実施設計時においては、仕上げの素材選びや、照明器具の設置の仕方などにも気をつけます。
それらひとつひとつの丁寧な設計が穏やかな空間をつくることにつながると思っています。
穏やかな空間づくりは、単に「静か」であること以上に、五感が休まり、心が自然とほどけていくような「余白」をデザインすることだと言えます。
ここからは穏やかな空間づくりで心がける具体的なアプローチをいくつかご紹介いたします。
1. 「自然」を取り込み、境界をぼかす
外の世界と室内を緩やかにつなぐことで、開放感と落ち着きが生まれます。
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視線の先に緑を置く: 窓から庭の木々が見えるのは理想的ですが、難しい場合は室内に中大型の観葉植物を配置します。視線の「逃げ場」があることで、圧迫感が軽減されます。
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「ゆらぎ」を感じる素材: 木目の美しい無垢材、調湿効果のある漆喰や珪藻土、リネンのカーテンなど。均一でない自然の風合い(1/fゆらぎ)が、本能的な安心感を与えます。
2. 「光」をコントロールする
強い直接光よりも、柔らかく回る光を意識します。
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低い位置の照明: 天井からの強いダウンライトだけでなく、フロアランプやテーブルライトを低い位置に分散させます。重心を低くすることで、空間に落ち着きが生まれます。
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障子や透け感のある布: 窓からの直射日光を一度ディフューズ(拡散)させることで、影の輪郭が柔らかくなり、空間全体が優しい印象になります。
3. 「余白」と「整頓」のバランス
モノが少ないことだけが正解ではありませんが、「視覚的なノイズ」を減らす工夫は不可欠です。
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隠す収納と見せる余白: 生活感の出るものは徹底して隠し、壁面や棚の一部をあえて「何も置かない空間」として残します。その余白が、心のゆとりとして感じられます。
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低重心の家具: 家具の高さを抑えることで、天井が高く感じられ、視界が抜けます。特に床に座る、あるいは低く座るスタイルは、安心感を得やすいのが特徴です。
4. 色彩のトーンを揃える
コントラストを抑え、中間色(ニュートラルカラー)を中心に構成します。
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アースカラーの活用: ベージュ、グレー、アイボリー、淡いグリーンなど。自然界にある色味をベースに、彩度(鮮やかさ)を落としたトーンでまとめると、空間に統一感と奥行きが出ます。
いかがでしょうか。
心が休まる家にするための穏やかな空間づくりをこれからもしっかりとご提案していきたいと思います。
サン工房・スタジオ代表:袴田英保

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