設計作法
2026/04/03
【感性に響く家】~木の家設計作法-其の561~
「住宅は住むための機械である」
これは、モダニズム建築の礎を築いた20世紀を代表する建築家、ル・コルビュジエの言葉です。
確かに住宅には、生活しやすい間取りやスムーズな動線といった合理的な形態、そして耐震性、耐久性、断熱性などの機能的な性能が不可欠です。
しかし、住宅は単なる効率を追求するオフィスや工場ではありません。
音楽を聴いて心が震えたり、一輪の花に美しさを見出す瑞々しい感性を持った人間が、深い安心感や癒し、そして精神的な充足を得るための「日々の暮らしの器」なのです。
だからこそ、住宅には数値化できる合理性だけでなく、空間の表情、雰囲気、佇まいといった「感性に響く様相」という演出が欠かせません。
それは、単なる装飾ではなく、住まう人の心に深く作用する大切な要素です。
こうした様相は、ダイナミックな立体造形のみならず、手に触れる仕上げ材の質感や、光を受けて変化する繊細な色使いによっても創り出すことができます。
例えば、朝日が差し込むダイニングには清々しい素材を、一日の終わりに安らぐ寝室には落ち着いた陰影を。
場所ごとに異なる空気感を纏わせることで、住まいはよりいっそう趣に富んだ、味わい深いものへと昇華します。
機能という「骨格」に、感性という「魂」を宿すこと。
それらが調和したとき、家はただの建物であることを超え、住まう人の人生を豊かに彩るかけがえのない舞台となるのです。
サン工房・スタジオ代表:袴田英保

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