美しい家をつくる【屋根のかたち】~木の家設計作法-其の499~
外観を決定する重要な要素のひとつは屋根です。
屋根のデザインは素材、勾配、納め方、葺き方、軒の出、などで決まります。
日本のように雨の多いところでは、軒の出がある、勾配屋根が必要になります。
また素材や葺き方によっても、勾配は変わります。
私たちは、そんな屋根の形について、なるべく軒の出を大きく張り出し、
複雑にしないシンプルな納め方で美しい屋根になるように検討しています。
美しい屋根を設計するためのポイントを以下に挙げたいと思います。
1.形状とプロポーション
・屋根の形状: 切妻屋根、寄棟屋根、片流れ屋根、形状によって建物の印象が大きく変わります。建物全体のデザインや周囲の景観と調和する形状を選ぶことが大切です。
・プロポーション: 屋根の勾配、軒の出や高さなどのバランスを考慮し、全体の美しさを追求します。伝統的な材の割りつけ法などの基本的な約束事を心得た上で、自由なデザインを心がけることが重要です。
2.素材の選択
・屋根材の種類: スレート、瓦、金属など、素材によって外観や耐久性が異なります。建物のスタイルや地域の気候に適した素材を選ぶことが求められます。
・色彩と質感: 屋根材の色や質感は、建物の印象に大きく影響します。 外壁や周囲の環境と調和する色彩を選ぶことで、統一感のある美しさを実現できます。
3.機能性と美しさの両立
・防水性と耐久性: 美しさだけでなく、雨風をしのぐ機能性も重要です。 適切な勾配や施工方法を採用し、長期間にわたり美しさを保つ屋根を設計します。
・メンテナンス性: 定期的な点検や清掃がしやすい設計にすることで、屋根の美しさと機能性を長持ちさせることができます。
4.環境との調和
・地域性の考慮: 地域の気候や風土、周囲の建築物との調和を考慮し、景観に馴染む屋根を設計します。 例えば、雪の多い地域では急勾配の屋根が適しているなど、環境に応じた設計が求められます。
5.ディテールへのこだわり
・軒先や雨樋のデザイン: 軒先のシャープさや雨樋の処理など、細部のデザインが全体の美しさに影響します。 屋根と一体化した雨樋のデザインなど、細部にまでこだわることで、洗練された印象を与えます。
・施工精度: 高い施工精度が、美しい屋根のラインや仕上がりを実現します。 施工者との連携を密にし、正確な施工を心がけることが重要です。
これらの要素を総合的に考慮し、機能性と美しさを兼ね備えた屋根の設計を目指したいと思います。
サン工房・スタジオ代表:袴田英保
「舘山寺の長屋~5年後~」(寄棟の平屋・屋根が綺麗な家) くわしくはこちら