知っておきたい安心のための基礎~スタッフのひとりごと-其の167~
暑い日々が続きますが、皆さん体調はいかがでしょうか。
サン工房スタジオでは、現在3件の現場が進行しています。
家づくりにおいて、基礎工事は重要なポイントです。どんなに断熱やデザインにこだわっても、家を支える「基礎」がしっかりしていないと意味がありません。
そこでどのように作るのか、良い基礎とはどのように見極められるのかまとめてみました。
1. 基礎工事とは?—家づくりにおける重要性
基礎工事(きそこうじ)とは、住宅や建物の土台となる部分を作る工事です。建物の重さや地震の揺れなど垂直・水平の力を建物から地盤に流すことで、建物が傾くことを防ぐための役割があります。
現在の基礎は「鉄筋コンクリート造」で作られることが一般的です。建物の特徴により、基礎工事の工法にも以下のように種類があります。
杭基礎
地盤が柔らかい、弱い際に用いられるのが「杭基礎工事」です。杭基礎工事には、支持杭と摩擦杭の二種類があります。重い建物や高層建築物に適しています。
一方、摩擦杭は、硬い地盤まで打ちません。
凹凸形状の杭を用いて地盤に打つことで、杭と土の間に発生する摩擦で基礎を支えます。杭を固い地盤まで打つことができない場合などに採用されることの多い杭基礎の方法です。
ベタ基礎
建物の床全体をコンクリートで覆う基礎です。地盤沈下のリスクを軽減し、湿気対策にも効果的です。特に、地盤が軟弱な地域で推奨されます。
布基礎
布基礎は、住宅の周囲と内部に連続して設けられる基礎です。強度が高く、耐震性に優れているため、多くの住宅で採用されています。
独立基礎
独立基礎は、小規模な建物や地盤が安定している場所で効果的な基礎工法です。現在の住宅ではあまり採用されない基礎工事です。経済的な理由から、構造計算等で検討を重ねたのち部分的に採用されることもあります。
2.基礎に使用する鉄筋コンクリートとはどんな素材か
住宅の基礎はコンクリートと鉄筋でできています。
コンクリートには、圧縮しようとする力に強く、引っ張られる力に対しては弱い(圧縮の約1/10)という特性があり、この引っ張られる力を補うための部材として鉄筋が使用されています。これが鉄筋コンクリートです。
鉄の部材としての特性には、コンクリートと比べ頑丈であるものの、錆などの腐食に弱く、熱に弱い、コンクリートと比べ高価という弱点があります。
とくに鉄筋の弱点である「錆などの腐食」は、耐久性に関わるため、いかにしてコンクリート内部にある鉄筋を錆びさせないかが重要なポイントになります。
コンクリート中の鉄筋は、普段は不動態皮膜と呼ばれる酸化皮膜に覆われており、この影響で酸化反応=錆など腐食の発生が抑えられています。
この不働態皮膜がなくなると鉄筋の腐食が起こります。
不働態皮膜がなくなる原因として考えられるのは、
①ひび割れ等によって水や空気が過度に供給されたとき
②塩化物イオン濃度が高くなったとき(塩害)
③コンクリートのアルカリ性が弱まったとき(中性化)などです。
ですから、これらが起こらない様にあらかじめ、基礎の設計をしなければなりません。
3.基礎の寿命はどのくらいですか
いくら構造体が耐震性に優れていたとしても、基礎の寿命が短くては意味がありません。建物を支える基礎は容易にメンテナンスができる部分ではないからこそ、強度だけではなく耐久性も含めて新築時につくることが求められます。
コンクリートは当初アルカリ性ですが、空気中の二酸化炭素を吸収して年に厚さ0.5mmずつ中性化していくと言われています。一般的な鉄筋のかぶり厚(コンクリートの厚み)は3cmで、60年でコンクリートの中性化が鉄筋にまで到達する計算になります。(※あくまで計算上)
ですから、さきほどの「鉄筋の腐食」を起こさないためには、コンクリートのかぶり厚さが厚いほど中性化の影響を受けにくくなります。
4.コンクリートを正しく施工する
コンクリートの中の空気量が多くなるほど基礎の強度は低下します。
コンクリート内の空気量をできるだけ少なくするようバイブレーターやタンピングで入念に締め固めを行うことも大切です。
またコンクリートを打設する時期の外気温も重要です。
コンクリートが硬化し、強度が発現する過程において温度による影響は非常に大きく、生コン打設から28日後までの期間で予想される平均気温によって設計基準強度よりも、強度の高いコンクリートを打設しています。
予想平均気温が3℃を下回るような期間は寒中コンクリート、25℃を上回るような期間は暑中コンクリートといって、上記とは別の調合や養生方法が定められています。
5.コンクリートの養生とは?
コンクリートの養生(ようじょう)は、打設後のコンクリートが適切に硬化するように行う一連の管理作業です。
コンクリート強度は、水とセメントの水和反応によって時間をかけて発現します。水が供給され続ければ水和反応は進行し、時間の経過とともに強度が増していきます。
コンクリートの水分が乾燥すると、水和反応が停止するためシートなどで保護をする「湿潤養生」が必要になります。
養生を適切に行うことで、水分の確保、温度管理、養生期間の遵守などを通じて、コンクリートの強度、耐久性を確保することができます。
まとめ
丈夫に見えるコンクリートですが、案外施工は繊細ですね。
サン工房スタジオの基礎は、一般的な基礎のコンクリートのかぶり厚より厚めに設計しています。配筋検査では、鉄筋がゆがんでかぶり厚が少ないところはないか、必ず現場で確認します。
佐々木