工務店の設計として考える【おもてなしと和の精神-2】~木の家設計作法-其の392~
「茶の湯とは時間の経過」であると言われています。
茶の湯の本質は、その行為ひとつひとつは一瞬で消えていくものであり、
残されるのはよい時間をともに過ごしたという場面の記憶なのです。
その一瞬の時間を作るために主人は何日も前から準備をし、
客人はその意を汲みとることによって茶事を盛り上げ、感謝を表します。
「一座建立」という言葉がありますが、もてなす側ももてなされる側も一緒に主客一体の座を作るのです。
「山嶺露の家」(現代数寄屋の家) 詳しくはこちら
お茶の世界での「おもてなし」で大切にされていることは、
その一瞬の時間が「とてもよい時間だった」とお互いに思えることです。
お茶室が綺麗なだけでも高価な器を使うことだけでもダメ。
主客、主人ともによい時間を過ごそうという考え方がなければ、よい時間を作ることができません。
私たちの「日本の家」も、まさしく「場面の記憶」「時間(とき)の記憶」づくりでもあります。
そして、家づくりもまた住まい手とともにそれにかけた時間を、
お互いにとても良い時間だったと思えるものにしたいと思います。
代表:袴田英保
「縁園の家」(現代数寄屋の家・薪ストーブがある家) 詳しくはこちら