これから和風住宅をお考えの方へ【「ケ」の場としての和室】~木の家設計作法-其の486~
これまでの日本人は、「ハレとケ」という通例的観念の元、生活が営まれていました。
ハレは儀礼や祭、年中行事などの「非日常」、ケは普段の生活である「日常」をことを表しています。
日本の住まいもその「ハレ」と「ケ」を意識してつくられ、どちらかというと、
日常の「ケ」ではなく、特別な行事などの「ハレ」に重きを置いていました。
「實間の家」(多世帯住宅・農家住宅) 詳しくは實間の家
なぜなら、現代のように、親類や近所の人を集める葬祭などの儀式も家を使って行うことが多く、
どうしてもそのような場をつくらなくてはならなかったからです。
そしてその場として使われてきたのが、和室です。
特に昔の田舎の家には、必ずといっていいほど続きの和室がありました。
それはまさに「ハレ」=特別な行事において人を集めることができる場だったわけです。
しかし、現代は文化の多様化、細分化により、そのように家に人を呼ぶことは、ほとんど無い時代になりました。
日本の住まいからは「和室」という「ハレ」のときに人を集める場はどんどん消えてしまった訳です。
そして現代の日本の住まいにおける和室という存在は、「ハレ」の場ではなく、
普段遣いの「ケ」の要素を多く持つ日常の場に変わってきているのだと思います。
リビング続きの和室や、リビング空間の中の小上がりのタタミコーナーなどがそれにあたるのだと思います。
時代の移り変わりにより、和の空間を使う場面は変わっても、
日本人の心の奥に残るタタミなどの和の素材に対する安心感や憧憬を大事にこれからも設計をしていきたいと思います。
サン工房・スタジオ代表:袴田英保
「幸整の家」(畳リビングの家・格子戸がある家) 詳しくはこちら