【 矩計から考える】~木の家設計作法-其の496~
家の全体計画を決定づけているものは初期のご提案の時に描くプラン図(平面図)だと思いますが、
家の詳細を決定づけているのは、矩計(かなばかり)図(縮尺を大きくした断面図)だと思っています。
矩計図は主には家の外部、内部、全ての高さ関係を決定する為の図面です。
そこでは、梁、桁の高さ、屋根の勾配、軒の高さ、構造材の大きさと天井の関係などの高さ関係の
アウトラインを決めると同時に、建具の枠の高さや窓の高さなどの詳細も決めていきます。
【矩計図を描く目的】
1.建物の構造や高さ、部材の関係性を確認
2.各部材の寸法や位置、接合方法の明確化
3.建築基準法や設計基準への適合性のチェック
【矩計図に含まれる主な情報】
1.構造材や部材の断面の情報
・床、天井、屋根、壁などの構成や厚み
・各層の高さや天井高、建物全体の高さ
2.部材の詳細寸法の情報
・柱、梁、床下地、基礎などの具体的な寸法
3.納まりの詳細情報
・壁、窓、建具の取り付け部分について
・材料の接合部(例えば断熱材や防水層の取り合い)
4.階高・天井高の情報
・階と階の間の高さ、天井高、床面からの高さ。
5.仕上げ材の情報
・壁、天井、床の仕上げ材の種類や厚さ。
【矩計図の作成のポイント】
・縮尺は通常 1/30
・必要に応じて詳細部分を拡大して描くこともある(1/10や1/5)。
・他の図面(平面図や立面図)との整合性を保つ。
私はこの矩計図の作業は実施設計の最初に行います。
作業としては必ず手描きで描きます。
手で描く意味としてはは、その家の全体像をイメージを思い浮かべながらじっくり考えたいからです。
私はそのような矩計の作業を行うことで、少しでも、居心地の良い家や、
街に馴染む見返り美人の家に近づくことができると信じています。
サン工房・スタジオ代表:袴田英保
「行雲流水の家」(二世帯住宅・庭を改修した家)こちら