【駐車場の計画について】~木の家設計作法-其の537~
地域によって異なりますが、通勤などに車を使う地域においては、駐車計画は設計において非常に大事な要素になります。
車を停めるための動線と駐車スペースの大きさ、停めてから家に入るまでの動線とアプローチや玄関との関係性など、毎日必ず行うこれらの動作がなるべくスムーズにストレスなく行われるように計画しなくてはなりません。
住宅の駐車場計画は、単に「車を停める場所」を確保するだけでなく、日常の動線や街並み、暮らしやすさに大きく影響します。
ここからはポイントを整理したいと思います。
1. 基本条件の整理
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駐車台数:世帯の車の台数+来客用の有無。将来の増減も考慮します。
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車の大きさ:軽自動車、ミニバン、SUVなど車種に合わせた寸法を確保します。
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前面道路条件:幅員、交通量、接道位置により出入りしやすさが変わります。
2. 配置の考え方
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玄関との関係
車から雨に濡れずに玄関へアクセスできる配置が理想。庇やカーポートの設置も有効です。 -
庭との関係
駐車場が庭を圧迫しすぎないようバランスを取る。庭との一体感を損ねない工夫が大切です。 -
動線計画
・車から玄関まで
・車から勝手口・キッチンまで(買い物動線)
を短くすると同時に認識しやすいのも大事です。
3. 駐車スペース寸法の目安
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最小寸法(普通車):幅 2.5m × 奥行き 5.0m
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ゆとりある寸法:幅 2.7〜3.0m × 奥行き 5.5〜6.0m
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回転・出庫スペース:前面道路が狭い場合は敷地内で切り返しできる余地が必要。
4. デザインと街並みへの配慮
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舗装材:コンクリートだけでなく、石材、インターロッキング、砂利、植栽帯を取り入れると熱対策・景観向上につながります。
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カーポート・ガレージ:建物デザインと統一感をもたせる。屋根高さや色調に注意が必要。
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街並みとの調和:前面を全面駐車場にせず、植栽や塀で緩衝をつくると印象が柔らかくなります。
5. 将来への備え
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EV(電気自動車)の充電設備用コンセントや配管をあらかじめ準備しておくかどうか検討も必要。
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自転車やバイクの駐輪スペースの検討も必要。
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来客用や将来子ども世代の車を見越して計画できればしておく。
私たちは設計初期のゾーニング(全体配置計画)において、建物を配置する際、まずは道路との関係性を中で、車の駐車〜家への動線を想像しながら、
上記を踏まえて駐車スペースの検討をしたいと思います。
サン工房・スタジオ代表:袴田英保
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