【露地(路地)の魅力】~木の家設計作法-其の554~
露地とは、茶室で行われる茶会の際に、お客様を導くための場所のことをいいます。
つまりこれから茶会に出席するお客様に対し、茶室までの道すがら、飛石、石灯篭、植栽で演出した、延段と呼ばれる石張りの通路でもてなします。
そのように施された露地を進むお客様は一歩一歩すすむごとに茶室へのわくわくした気持ちをかりたてられるのです。
また京都の町家の中にある狭い路のことも露地(路地)といいます。
こちらは町家の住居やお店などに入る道程のことを言いますが、こちらも打ち水をした石張りの路地は、
これから訪問する家やお店へのわくわくした気持ちを駆り立てるものです。
「露地(ろじ)」の魅力は、派手さではなく心をほどく力にあります。とても日本的で、しかも奥深い存在です。
ここからは具体的に露地の魅力を考えたいと思います。
1. 日常から非日常へ切り替える“間(ま)”
露地は、外界と茶室(あるいは主屋)をつなぐ精神的な通路です。
一歩足を踏み入れるごとに、俗世の気配が少しずつ薄れ、気持ちが整っていく。その“移ろい”こそが露地の本質だと思います。
2. つくり込まない美しさ
苔、飛石、延段、下草、木漏れ日。
どれも主張しすぎず、自然に「そこに在る」ように見せる。
完璧を目指さないからこそ、季節や時間、天候で表情が変わり、飽きることがありません。
3. 五感にひらく庭
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視覚:奥を見せすぎない構成、切り取られる景色
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聴覚:砂利を踏む音、風に揺れる葉
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触覚:飛石の感触、湿り気
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嗅覚:土や苔、雨上がりの匂い
露地は「眺める庭」ではなく、歩いて感じる庭です。
4. 余白と簡素の美学
石灯籠や蹲踞(つくばい)も、装飾ではなく“意味”として置かれる。
少ない要素で、深い世界をつくる――これは建築や暮らしにも通じる思想です。
5. 現代の住まいにも活きる露地的発想
本格的な茶庭でなくても、
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玄関までのアプローチ
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路地状の外構
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中庭への動線
に露地の考え方を取り入れると、家に入る前に心が整う住まいになります。
露地の魅力は、「何かを足す」ことではなく、
削ぎ落とした先に生まれる豊かさ。
静かだけれど、記憶に残る空間だと思います。
このように露地(路地)は、その道程にりおいて、施しをすることにより、
家やお店に入る前の気持ちを高める場でもあり、心を落ち着かせるような場でもあります。
そんな露地のような場をアプローチでつくることごできたら、その家の魅力につながると思います。
サン工房・スタジオ代表:袴田英保

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