【開口部による効果】~木の家設計作法-其の553~
小さな坪庭でも、雪見障子などの開口部によって切り取ることにより、逆にそこには大きな世界が広がることがあります。
外からその庭をみれば、単なる小さな坪庭だったとしても、切り取ることで、想像は無限に広がるからです。
私たちは設計の初期の提案の時に、開口部から見える庭をすでに頭の中で描いています。
樹木の樹種や樹形、石や下草の配置、花、砂利などもどんな感じでしつらえるか。
開口部から見える世界のひとつひとつを頭に思い浮かべながらプランを形にしています。
開口部が切り取る外とのつながりはとても大事な私たちの提案です。
開口部による切り取り効果とは
窓や建具、壁の抜けを通して「見せたい景色・光・気配だけを意図的に切り取る」**ことで、空間に物語性や奥行きを生み出す手法です。
ただ“外が見える”のではなく、どう見せるか/何を見せないかが肝になります。
切り取り効果が生む主な効用
① 景色を「一枚の絵」にする
・庭木
・石積み
・塀越しの空
・隣家の緑だけ
余計な要素を排除し、まるで額縁に収めたような視覚効果が生まれます。
和モダン住宅の窓や、落ち着いたリビングの開口部と特に相性が良いです。
② 空間に奥行きと広がりを与える
一直線に視線が抜ける配置にすると、実際の面積以上に空間が広く感じられます。
例:・玄関 → 中庭の窓
・廊下の突き当たり → 小さな開口
・リビング → 軒下 → 庭
視線の“止まり木”をつくるイメージです。
③ 光をデザインする
開口部は「光の入口」でもあります。
・ハイサイドライトで柔らかい拡散光
・地窓で足元に落ちる陰影
・障子越しの間接光
光を切り取ることで、時間帯ごとに表情が変わる空間になります。
④ プライバシーと開放感の両立
全面開口にしなくても、高さ・幅・位置を絞ることで住宅ならではの快適さが得られます。
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視線は遮る
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光と風は通す
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気配は感じる
効果を高める設計ポイント
■ 開口の「高さ」と目線の関係
■ 枠の太さ・素材(木枠は特に効果大)
■見える先の“背景整理”(電柱・給湯器NG)
■昼と夜、両方の見え方を想定する
特に何を隠すかを先に決めると、切り取りはうまくいきます。
住宅設計での開口部の設計
開口部は「大きさ」より「意図」が大事。
小さな窓でも、狙いが定まっていれば、家の記憶に残る風景になると思います。
これからも小さな風景を切り取る開口部を積極的に提案したいと思います。
サン工房・スタジオ代表:袴田英保

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