【造作家具という選択】~木の家設計作法-其の536 ~
住まい手がお持ちの置き家具に合わせて部屋の大きさや形を設計するやり方もありますが、部屋に合わせて家具をつくるご提案をすることもあります。
造作家具の良さは「空間と暮らしにぴったり合わせられる」という点です。
既製品とは違う魅力を整理すると、こんな特徴があります。
1.空間にフィット
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寸法がぴったり:部屋の大きさや形に合わせて ミリ単位で設計できるため、デッドスペースをなくせます。
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梁や柱、窓の位置にも対応:変形した間取りや傾斜天井など、既製家具では対応しにくい場所でも納めることができます。
2.デザインの一体感
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建築と調和:床・壁・建具と素材や色を揃えられるため、空間全体に統一感が出ます。
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すっきりした印象:造り付けることで余計な隙間や家具の「浮き」がなくなり、空間が広く見えます。
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オリジナリティ:部屋の雰囲気や暮らし方に合わせたオーダーデザインが可能です。
3.機能性の高さ
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必要な収納量に合わせられる:本棚・食器棚・玄関収納など、暮らし方に合わせた大きさや仕切りを設計できます。
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動線に沿った配置:家事や生活の流れに自然に馴染む位置に設けることができます。
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多機能化:机+収納、ベンチ+収納など、複合的に組み合わせることができます。
4.長く使える
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構造的にしっかり:壁や床に固定するため安定感があり、転倒の心配が少なくなります。
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修繕や調整も可能:造作なら大工や建具職人によるメンテナンスがしやすい。
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愛着が増す:住まいとともに年月を重ねて愛着がある存在になる。
5.心理的な豊かさ
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自分仕様の特別感:注文住宅らしい「わが家だけの家具」として満足感が大きい。
- 暮らしのリズムを整える:必要な場所に必要な収納があると片付けやすく、心地よい空間が保ちやすい。
壁面収納や、造り付けのソファーなどがその一例ですが、その場合は素材や形、大きさも自由に選択できるという利点があります。
コストバランスにも注意し、ディテールにこだわりながら、部屋に馴染む家具をご提案したいと思います。
サン工房・スタジオ代表:袴田英保
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