【新しい土間の提案】~木の家設計作法-其の556~
以前の日本の家には土間は普通にありました。
水や汚れに強い土間は、炊事場としてや、農作業などの作業場、そして農作物などの保存場所と、いくつもの役割を兼ねていました。
また、家族やご近所との温かな交流の場でもありました。
こうした土間のもつ利便性や楽しさは、今も尚、再評価され、取り入れる人も少なくありません。
土間を組み合わせたリビングは、これまでにない新しい住み方を提案してくれます。
趣味を楽しむスペースにもなれば、友人を気軽に迎えるカフェのような役割も担います。
また、子供の遊び場や収納場所としても使えます。
土間リビングは、自分のライフスタイルや家族構成に合わせてさまざまな生活空間となります。
新しい土間の提案
1.余白としての土間
使い方を決めすぎない土間
■ 玄関から連続するが、リビングとも庭とも曖昧につながる
■ 普段は何も置かず「空間の溜まり」として機能
■ 来客・子どもの遊び・展示・イベントで性格が変わる
→土間を“使う”のではなく、“起点にする”発想
2.半屋外化する土間(内でも外でもない)
縁側の進化系
■ 建具を全開にすると庭と一体化
■ 閉めると室内だが、土・風・音を感じる
■ 雨の日でも使える「屋根付き外部空間」
■ 床はモルタル刷毛引きや自然石で外部寄りの質感
→「庭に出る」のではなく「土間に降りる」動線
3.家の“間(あわい)”としての土間
■ 部屋と部屋をつなぐ中間領域
■ キッチン↔庭、仕事↔生活、家族↔社会の緩衝帯
■ 玄関土間を廊下化せず、滞留させる場
4.趣味と共存する“静かな作業土間”
■ 作業場だけど騒がしくない
■ 自転車・陶芸・植物・DIYなどの趣味を行う場
→「趣味専用」ではなく「生活に滲む」土間
5.暮らしを編集する土間(可変性)
将来用途が変わる前提
■ 子育て期:ベビーカー・外遊び
■ 中年期:趣味・仕事
■ 老後:車椅子・庭との緩やかな接続
■ 仕上げは更新できる前提
■ 建具で区切れる/開け放てる
→土間は“今”ではなく“時間”に寄り添う空間
様々な使い方ができる魅力的な土間をこれからもご提案していきたいと思います。
サン工房・スタジオ代表:袴田英保

「木織りの平屋」(土間がある家・R天井がある家)



