【外部とつながるしつらえ】~木の家設計作法-其の531~
私たちは設計において積極的に外部とつながることを意識してします。
なぜなら、外部とつながることで、より内部空間に広がりを感じるようになるからです。
「外部につながるしつらえ」とは、建物の内側と外側を自然に結びつけ、屋内外の境界を感じさせない空間設計や工夫を指します。
特に日本建築では、季節の移ろいや自然との調和を大切にするため、昔から多くの工夫がされてきました。
以下に私たちの設計においての、外部とつながるしつらえはどんなものがあるか挙げてみたいと思います。
外部につながるしつらえの代表的な工夫(和モダン住宅)
1.縁側やデッキの活用
・縁側は、和の伝統的な外部との緩衝空間、中間領域です。室内の延長としても、庭との接点としても機能します。
・現代ではウッドデッキやタイルデッキとしてアレンジし、テラスやアウトドアリビング的に使用することもあります。
2.大開口の窓・引き込み戸
・庭やデッキに面した掃き出し窓を大開口の冊子にすることで、内と外がつながります。
・四季の風や光を感じやすく、格子や障子風の建具を組み合わせると美しく開口部の造作ができます。
3.中庭・坪庭
・プライバシーを守りながら外部を取り込む代表的なしつらえです。
・限られた敷地でも採光・通風・緑の眺めを確保でき、住まい全体に奥行きを与えてくれます。
4.素材感の統一
・室内の床材と外部デッキの素材感を揃えることで視覚的な連続性を強調します。
・たとえばフローリングとウッドデッキ、畳と石張りなど、自然素材の調和が和モダンらしさを高めてくれます。
5.植栽・借景の工夫
・隣家との境に竹や雑木を植え、視線を遮りつつ自然を感じる工夫をします。
・山や庭の景色を借景として取り込む設計も和モダン住宅では重視されます。
6.軒・庇の深さ
・深い軒は日差しを調整し、雨の日も外とのつながりを保ちます。
・縁側やデッキを守ることで、四季を問わず活用できる空間になります。
7.照明の演出
・夜間は庭園灯や足元照明で外部空間を演出し、室内からの眺めを美しくなります。
・和紙風照明や間接照明を取り入れることで、昼夜で異なる雰囲気が楽しめます。
「外部につながるしつらえ」は、和の精神=自然との共生を現代住宅にどう解釈するかがポイントになると思います。
たとえば「外を楽しむ」ではなく「外を暮らしの一部にする」という意識が、大事かと思います。
今後も積極的に外部を取り入れることができる、建築的なしつらえをご提案したいと思います。
サン工房・スタジオ代表:袴田英保
「春告鳥の鳴く家」(中庭がある家、軒が綺麗な家)詳しくはこちら
そのような細かい配慮を施した外部とつながるしつらえであるデッキ(縁側)を、
今後も積極的にご提案に盛り込みたいと思います。