【土地が語り掛けるもの(土地のもの語り)】~木の家設計作法-其の495~
土地には何か訴えかけてくるものが必ずあります。
地の力とでもいうか、何か惹かれたり、感じたりします。
今回は家づくりにおいて、そのような「土地が語りかけるもの(土地のもの語り)」には具体的にどんなものがあるかを考えていきたいと思います。
1.地形や環境が語る自然の声
・風の流れや日当たり
土地の位置や周辺の建物の影響で、光や風の入り方が変わります。これを活かして、心地よい空間をデザインすることが大切です。。
・地形や植生
高台や低地、またはその土地に自生する植物が、その場所の特性を教えてくれます。自然と調和する家づくりのヒントとなります。
・四季の変化
季節ごとの景色や気候の変化は、家を建てた後の生活をイメージする際に重要な情報です。
2.歴史や文化が語る背景
・地域の歴史や風土
昔からその土地に暮らす人々の営みや伝統は、その場所特有の魅力です。これを取り入れることで、家がその地域に馴染むようになります。
・地名や風習
地名にはその土地の過去の使われ方(田畑、湿地、川沿いなど)や災害の記憶が含まれていることも多く、家づくりの参考になります。
3.土地が持つ制約や可能性
・法規制やインフラ
建築基準法や都市計画、上下水道や電気といったインフラの状況も、その土地の特性が語るものの一部です。
・地盤の強さや安全性
その土地での建物の安定性や、災害リスクを知ることも、土地が教えてくれる重要なポイントです。
4.感覚的なインスピレーション
・雰囲気や空気感
土地を訪れたときに感じる「この場所が好きだ」「ここに住みたい」といった直感も、土地が語りかけるものだと思います。
・音や匂い
静かさや賑やかさ、自然の匂いや近隣からの香りなどは、その土地ならではの生活感を予感させます。
5.周囲とのつながり
・近隣環境やコミュニティ
周囲にどのような家や施設があるのか、また近所付き合いの様子は、その土地の暮らし方を大きく左右します。
・アクセス性や利便性
交通の便や商業施設の位置などは、その土地が提供する生活の利便性を示します。
家づくりにおいて、土地の「声」を聞くというのは、その場所に宿るすべての情報や特徴を感じ取り、
それを設計や生活に活かしていくことを意味します。それは、単に家を建てるのではなく、その土地での新たな物語を紡ぐ第一歩と言えるでしょう。
方角からくるもの、地の神様のある場所、大きな大木、石など物からくるものなど、何かしら必ず訴えかけてきます。
私たちはそれらをつぶさに観察し、これまでの土地の物語りを感じることで、
新しい物語りをつくる気持ちで、設計において「家と庭」を考えていきたいと思っています。
サン工房・スタジオ代表:袴田英保
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