【住宅設計の基本】 ~木の家設計作法-其の521~
住宅の設計にあたり、形やデザインだけに終始してはいけないと思います。
つまり、カッコ良いとか、目立つとか、売れるとか、その様な観点から家づくりを始めてはいけないということです。
家を設計させていただいている以上、まずそこには、住まい手というひとの生活があり、家族が心豊かになるようなものを創らなければならないと思います。
その上で、なるべく機能とデザインを融合させて、奇を衒うことをせず、美しく整えていくことを探求しなければならないと思っています。
ではここからは住宅設計の基本をみなさんとおさらいしていきたいと思います。
住宅設計の基本は、「住まい手の暮らしに合った快適で安全な空間をつくること」です。そのためには、以下のような基本的なポイントを押さえることが重要です。
1. 敷地と環境の把握
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方位・日当たり・風通しを考慮した配置計画を検討する。
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周囲の建物・道路・景観などの外部環境との関係に憂慮する。
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地盤や法規制(建ぺい率・容積率・高さ制限など)の確認をする。
2. 家族構成とライフスタイルの把握
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現在の家族構成と将来の変化を想定する。
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生活習慣(在宅ワーク、趣味、家事動線など)の反映する。
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ペットや介護など、個別のニーズにこたえる。
3. 空間構成(間取り)の設計
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動線計画(家事・生活・来客)を綿密に検討する。
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ゾーニング(パブリックとプライベートの分離)計画を行う。
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収納の計画(使う場所の近くに必要量)を行う。
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柔軟性・可変性のある空間(将来的なリフォームも視野に)をなるべくつくる。
4. 光と風のデザイン
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自然光を取り入れる窓の配置と大きさを検討する。
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風通しを意識した開口部の配置計画。
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中庭や吹き抜けを活用した明るく開放的な空間をつくる。
5. 構造と断熱性能
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地震に強い構造計画を検討する。
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断熱・気密性を高めて快適性と省エネ性を両立させる。
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音の対策(外部騒音や生活音)を検討する。
6. 素材と仕上げ
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耐久性・メンテナンス性の高い素材をなるべく採用するようにする。
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木・土・石など本物の自然素材を活かした温もりある空間づくり。
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内外装の統一感あるデザイン
7. 法規と予算のバランス
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建築基準法、消防法、地域の条例などに準拠する。
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予算内で最大の効果を得るための優先順位の整理を行う。
8. 外部空間とのつながり
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庭・バルコニー・ウッドデッキなどを活用する。
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室内との連続性を持たせることで、空間の広がりを演出する。
いかがでしたでしょうか。
今回は住宅設計の基本ということで、設計をする上で考慮すべき点をお話しさせていただきました。
サン工房・スタジオ代表;袴田英保
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