【二階のリビングダイニング】~木の家設計作法-其の524~
二階建ての家の場合、ほとんどの家は一階にリビングダイニングを計画しますが、
ごく稀に二階にリビングダイニングを持ってくることがあります。
主な理由としては、街中などの場合、敷地が南北に余裕がりないときに、
リビングダイニング空間の日照を確保するためや、眺望を確保する為です。
しかしながら、二階リビングの提案はいつも慎重な検討しなければならないことと、建主の理解を必要とします。
なぜなら、若い時は二階に上がることが苦にならなくても、年齢を重ねていくと、
上がる行為が億劫になったり、できなくなったりするからです。
このように二階にリビングダイニングを置くかどうかについては、
必ずメリットとデメリット理解していただきながら、慎重に計画します。
【2階リビングのメリット】
① 日当たり・眺望が良い
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周囲の建物より高くなるため、採光や風通しが良く、明るく開放的な空間になります。
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景色を楽しめるケースが多い。
② プライバシーが確保しやすい
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道路からの目線が届きにくく、外からの視線を気にせず過ごせます。
③ 防犯性が高まる
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侵入リスクの高い1階に寝室などの個室を配置し、生活の中心を2階にすることで防犯性を高められます。
④ 間取りの自由度が高まる
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1階は駐車場や玄関、水まわり、個室に特化できるため、2階リビングを広く設計しやすくなります。
⑤ 開放的な勾配天井やロフトが作りやすい
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屋根の形を活かし、天井高の高いリビングを作りやすくなります。
【2階リビングのデメリット】
① 上り下りが負担になる
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買い物やゴミ出し時に階段移動が必要で、高齢になると負担になることが多くなります。
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将来のバリアフリーを考えると計画が必要になります。
② 夏の暑さがこもりやすい
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熱が上にたまりやすく、夏場の暑さ対策(断熱・空調)が必須となります。
③ 生活動線が複雑になりやすい
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1階の玄関からリビングまでの動線が長くなり、荷物運びが大変になることもあります。
④ 家族の帰宅時に気付きにくい
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リビングを通らず個室へ行けるため、家族の気配が分かりにくいこともあるでしょう。
⑤ 外に庭を作りにくい
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リビングに庭を隣接させるのが難しく、屋上庭園やバルコニーで代用する必要があります。
いかがでしょうか。
2階リビングは年齢、生活スタイル、敷地環境によってはメリットが大きい場合もありますが、デメリットの方が大きい場合もありますので慎重に検討する必要があります。
狭小地の場合や、高いところからの景観が良い場合など、一考する価値はあるかもしれませんので、2階リビングを検討されたい場合は設計士さんに聞いてみたらどうでしょうか。
サン工房・スタジオ代表:袴田英保
「星垂る灯の家」(二階リビングの家・街中の小さな家) 詳しくはこちら