【「物語」と呼ばれるもの。】~木の家設計作法-其の473~
設計のご提案をさせていただく前に、
住まい手に要望を書いていただく
「物語」と呼んでいるシートがあります。
住まい手はどんな家を望んでいるのか、
家にどんな想いを託しているのかを推しはかるために
ヒントを書いていただくアンケート用紙のようなものです。
ご質問は、抽象的で大きな視点のものから、細かいことまで及びます。
毎日の生活のこと、
将来の家族の成長のこと、
くつろぎ方、
片付け方、
必要な諸室のこと、
希望する設備のこと、
など細かいことまでたくさん質問させていただきます。
ところで、その質問の中に、こんな問いかけがあります。
「特に心に残っているあなたの想い出(原風景)はどのようなものですか?
実は私たちが最も大事にしていることのひとつがこの「想い出(原風景)」のご質問です。
友達と隠れた納戸のかくれんぼ、
兄弟と夕暮れ時に遊んだ庭、
縁側での祖母の膝枕…
それら想い出の場面は、決して特別な日や場所でないことに気づきます。
遠い日のささやかな場所にも目を向け、
これからを生きる住まいに生かしていきたい。
過去から綴られてきた「物語」の行間に
見え隠れする想いを丁寧にすくい取り、
住まい手の想いやご要望を時間をかけてしっかりと耳を傾けることで、
明日の「物語」としてつないでいくための住まいを、
これからも住まい手と一緒に紡いでいいたいと思います。
代表:袴田英保
「舘山寺の長屋」(二世帯の平屋・寄棟屋根の家) 詳しくはこちら