【街並みをつくる】~木の家設計作法-其の535~
昔の日本の街並みは、屋根の素材や形などが統一され、それは美しいものでした。
しかしながら、昭和になって、様々な建築素材が開発され、高度経済成長とともに、
爆発的に住宅の数も増えると同時に多様化して行く中で、街並みは本当に崩れてしまいました。
これからもその街並みについて、改善されることは、よほど国が規制を敷かない限りないと思われます。
そんな中、住宅に携わる私たちは、街並み全体をつくるところまではできないまでも
その一軒が街並みを作って行くという気持ちを持って、丁寧に設計していく姿勢を持たなければならないと思います。
【住宅設計で街並みに対して私たちができること】
1.景観に対して
①外観デザイン
色彩や素材について、街並みと調和できるものを選定
奇を衒わず、優しく調和するデザインを心掛ける
②スケール感
高さやボリュームなどのスケール感について、周囲と調和を図る
③植栽・外構
庭木や生垣、塀が街並みにおいて柔らかさや季節を感じられるものとする
2.道との関わり
①セットバック・剪定
歩道や通りになるべく余裕をつくり、通行する人の快適さを考慮
②適度な開放性
塀を低くする、格子を使うなどで街路をのつながりを持たせ、防犯性や安心感を高める
3.地域性を意識
①素材選び
瓦、木、石などについてその土地らしい材料を選定
②伝統要素の継承
格子、庇、軒の出などをなるべく意識することで、街並みに歴史の連続性を与える
③色彩の統一
目立つことなく、地域になじむ落ち着いた色合いを選定
このようなことを考慮し、住宅設計の立場からでも少しでも地域の街並みが良くなるように貢献できたらと思います。
サン工房・スタジオ代表:袴田英保
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