【外から受ける居心地の良さ】~木の家設計作法-其の532~
居心地の良さは、室内の空間やしつらえによるものだけではありません。
むしろ内と外とのつながりによるところが大きいのではないかと思います。
窓から入る光、春から秋にかけてそよぐ風、食卓から見える庭、小窓から見える遠くの景色…
私たちはそれら見たり受けたりすることで、心地良さを感じるのではないでしょうか。
ここで居住空間において外部から受ける心地よさについてどのようなものがあるかを挙げてみたいと思います。
1.自然環境による心地よさ
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光:柔らかな自然光が室内に届くと、気分が明るくなり心身が安らぎます。
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風:心地よい風の通り道があると、室内環境がリフレッシュされます。
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緑や景色:庭木、四季折々の風景、水辺の眺めなどは安心感や癒しを与えてくれます。
2. 周囲の音・匂い・気配
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自然音:小鳥のさえずりや風に揺れる葉の音が落ち着きをもたらしてくれます。
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匂い:雨上がりの土の匂いや季節の花の香りが五感に心地よさを届けてくれます。
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人の気配:周囲のにぎわいや遠くの生活音が「孤独ではない安心感」を生む場合もあります。
3. 建築的な工夫による外の心地よさ
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窓の配置:景色や光を取り込みつつ、まぶしさや視線をコントロールします。
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縁側・テラス・軒下:内でも外でもない中間領域が、外の居心地を室内に引き込んでくれます。
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格子や植栽:完全に閉じず、視線や風だけをやわらかく通す工夫です。
4. 心理的効果
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外の環境が「自分の居場所を守ってくれている」という安心感を与えると、人はくつろげます。
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完全な遮断ではなく、「つながっている感覚」があることで、外の心地よさが増します。
ともすれば、閉め切ることにより生まれる性能面ばかりに気を取られ、忘れがちになるこのような外とつながりで得る心地良さ。
今後も住まい手に感じていただけるように提案したいと思います。
サン工房・スタジオ代表:袴田英保
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