【アプローチは気持ちの通り道】~木の家設計作法-其の527~
敷地の外から家の玄関まで続く通路をアプローチと言います。
外から家の中へ人を導く大切な空間です。
そこは単に通路という物理的な面だけでなく、通る人の心持ちにも影響を与える精神的な意味も持っています。
お寺や神社の参道や茶室に続く露地がまさにアプローチであることを考えれば、その役割がよくわかります。
私たちは、家族が家へ帰って来た時に緊張を解く場だったり、お客様が他者の私的空間に入る前に心の準備が行われる場としてのアプローチについて、その役割をしっかり認識し、「曲げる」「ずらず」「止める」など様々な工夫を施し、機能を高めながら、気持ち良い魅力も創出しています。
以下に気持ち良い魅力的なアプローチの特徴や工夫できるポイントを紹介したいと思います。
■ 魅力的なアプローチの特徴
1.期待感を高める演出
・緩やかなカーブや段差、曲がりを取り入れて、奥行き感を演出。
・少しずつ建物が見えてくる「見え隠れ」の効果で、到達までのワクワク感を生む。
2.四季を感じる植栽
・季節ごとに表情を変える植物を配置すると、訪れるたびに新鮮な印象を与える。
・花や紅葉、常緑樹のバランスを考慮。
3.素材と質感の工夫
・石畳、洗い出し、木製デッキなど、足元の素材について年月が経っても味が出る本物の素材を選定。
4.光と影のデザイン
・アプローチに間接照明や足元灯を設けると、夜間も美しく安全に誘導できる。
・樹木の影や格子の影など、日中の陰影も魅力の一部にする。
5.視線のコントロール
・プライバシーを守りつつ、外からの視線をやわらかく受け止める設計。
・低い塀や植栽でゆるやかに仕切る。
■ 魅力的なアプローチがもたらす効果
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来訪者への歓迎の意志を表す。
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住まいの第一印象を上げる。
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毎日の帰宅時に、気持ちを切り替える場となる。
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家の佇まいに格調や個性を与える。
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