2025.04.26(土)

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【豊かな土間空間】~木の家設計作法-其の512~

かつての日本の伝統的な民家などには、地面とほぼ同じ高さで床がなく、土足で利用する部分、いわゆる土間があり、そこは主として、作業場や、炊事場、通路(通り土間)などとして使われていました。

 

土足の空間という意味では、現代住宅の玄関も、土間と言えますが、一般的に土間と言われるのは、ある程度の広さがあり、屋内であるにも関わらず、床を張らず、三和土やコンクリート、タイルなどで仕上げられた場所を言います。

 


「岡崎市岩津天神 長七庵」

 

土間は屋内と戸外を、ゆるやかにつなぐ中間領域であり、家の中にありながら、屋外のような雰囲気と役割を持った、いわば内部的外部、外部的内部とも言える曖昧な空間です。

ここで土間の魅力をいくつか挙げてみましょう。

 

 1. 外と内をつなぐ中間空間

土間は「外でも中でもない」グラデーションのような曖昧な場所。靴のまま入れるから、農作業や庭仕事、アウトドア用品の手入れ、DIYなどがしやすいです。現代では、ガレージと室内のあいだにある便利な「セカンド玄関」的な使い方も増えています。

2. 多用途スペースとしての自由度

・自転車置き場
・薪ストーブを置くスペース
・ワークスペースや工房
・ペットの居場所
など、使い方が本当に自由。フローリングの部屋よりも「汚れても平気」って感じなので、趣味を満喫できる場としても使えます。

 3. 温熱環境にやさしい

土間はコンクリートや三和土(たたき)など、蓄熱性のある素材でできてるので、夏はひんやり、冬は薪ストーブなどの熱をじんわり蓄えてくれる。空間全体の温度を緩やかに調整してくれるっていう点でも、自然と調和した空間とも言えます。

4. 暮らしに「余白」をくれる

靴を脱がずに作業できたり、荷物を一時的に置いたり、来客とのちょっとした会話スペースにしたり。土間は生活のなかに「余白」や「間(ま)」を与えてくれ、精神的なゆとりにもつながる空間です

 5. 和の雰囲気と懐かしさを醸し出す

見た目にも「和」雰囲気の美しさがあります。または日本の昔ながらの住生活を思い出すような、ちょっとした懐かしさを感じる空間でもあります。

いかがでしょうか。
このような土間や縁側といった曖昧な空間は、伝統的な日本の家の特徴のひとつであり、日常生活の中でさまざまな機能を担いつつ、かつ楽しさと開放感を感じさせる優れた場所なのです。

 

また室内と庭との、連続性の演出という点では、数寄屋の本質に通ずるものがあります。日本の文化とも言える曖昧な空間だからこそ、機能性のみならず、精神的なな豊かさをもたらす土間。

 

機会があれば是非ご提案したいと思います。

 

サン工房・スタジオ代表:袴田英保

 


「薄明りの家」(土間と薪ストーブがある家・田舎暮らしの家) 詳しくはこちら

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