【シンプルさの追求】~木の家設計作法-其の501~
家の間取りや内外装デザインする際に常に思っていることは、
機能を満たしながらも出来る限りシンプルなものにしたいということです。
住宅デザインにおいて「シンプルな形」を追求することは、見た目の美しさだけでなく、
機能性や住み心地、持続可能性の観点からも多くのメリットがあるからです。
以下に、シンプルさを追求する意義と具体的な考え方をまとめてみました。
「シンプルな住宅デザインの意義」
1.美しさと普遍性
・シンプルな形状は、時代や流行に左右されにくく、長期間にわたって美しい外観を保てる。
・ミニマルなデザインは視覚的にスッキリとしており、余計な装飾を省くことで素材の質感やプロポーションが際立つ。
2.機能性の向上
・シンプルな形状は間取りの効率化を促し、無駄のない(コストがかかりにくい)空間構成が実現できる。
・開口部や窓の配置を計画的に行うことで、採光や通風を最大化し、快適性を高めることができる。
3.建築コストの最適化
・複雑な形状を避けることで、施工コストや工期を比較的抑えることができる。
・長方形や正方形のプランは、構造の架構が整理しやすくに効率も良く、耐震性や耐久性の向上につながる。
4.持続可能性への寄与
・シンプルな形状は、断熱性やエネルギー効率を高めやすく、環境負荷を軽減しやすい。
・メンテナンスが比較的容易で、長く住み続けられる設計にしやすい。
5.心理的な効果
・無駄を削ぎ落とした空間は、住む人に安らぎや心地よさを与えます。
・シンプルなデザインは、個々の生活スタイルや家具、装飾品を引き立てる柔軟性を持っています。
「シンプルな形を追求する具体的デザイン手法」
1.基本形状を大切にする
・正方形や長方形などの幾何学的な基本形をベースに設計。
・必要に応じて一部を削る、足すといった最小限の操作でデザイン性を高める。
2.素材選びのこだわり
・自然素材(木材、石材)や質感のあるシンプルな外壁(塗り壁、コンクリート)を使い、空間全体に調和を持たせる。
・余計な色や模様を避け、単一または調和したトーンのカラーを採用。
3.開口部の工夫
・窓やドアの配置を最小限にしつつ、太陽の光や外の景色や庭の景色を効果的に取り入れる。
・無駄に大きな開口部を避け、機能的かつ美しい形状に仕上げる。
4.動線と空間構成の合理化
・家事や日常生活の動線をシンプルにし、ストレスのない生活空間の実現を目指す。
・無駄な仕切りを減らし、広がりを感じるワンルーム的な空間(ひろがり間取り)を検討する。
5.装飾の最小化
・屋根や外壁の装飾、派手なデザインを控え、プロポーションや影の美しさで魅せる設計に。
・照明や家具もシンプルなラインのものを選ぶ。
「シンプルな形の住宅の具体例」
・シンプルな箱型住宅
シンプルな四角形をベースに、自然光や風を取り入れるための工夫を加えたデザイン。
・平屋の長方形プラン
地域の自然や景観に溶け込む、シンプルで開放的なデザイン。
・フラットな屋根ラインのモダンデザイン
無駄のない水平ラインで、現代的な印象を与える。
シンプルな切り妻屋根や屋根の高さをそろえた寄棟屋根。
シンプルな形を追求することで、無駄を省きながらも豊かさを感じる空間を作り出せます。
特に住宅では、居住者の生活を引き立て、長く愛されるデザインが実現可能です。
具体的な住まい方のご要望やデザインのイメージをお聞かせいただければ、
具体的なご提案も可能ですので、お気軽にご相談ください。
サン工房・スタジオ代表:袴田英保
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