【土間の提案】~木の家設計作法-其の492~
かつての日本の住まいには、その風土と生活様式に見合った伝統の知恵がありました。
多目的に使える和室や屋内の生活空間として重宝した土間もそのひとつです。
土間は多くの文化的、機能的価値を持っていると言えます。
日本の家における土間の魅力を以下に挙げてみたいと思います。
「悠悠閑閑の家」(土間とダウンリビングがある家・大屋根の家)詳しくはこちら
1. 内と外をつなぐ空間としての魅力
・土間は、家の内部と外部をやわらかくつなぐ中間領域として機能します。
・靴を履いたまま入れるため、庭仕事や農作業の道具を扱ったり、雨具や長靴を置く場所として便利です。
・現代の住空間においても、玄関スペースを広く設計した土間は、外との一体感を楽しむ要素として注目されています。
2. 室内だけど多用途に使える
・土間は、調理場や作業場、倉庫、集会の場など多機能に使われてきました。
・現代では、自転車の置き場やDIYスペース、ペットの遊び場として活用されることもあります。
・固い床材(例えばコンクリートやタイル)が多いため、汚れを気にせず使えるのも大きな魅力です。
3. 涼しさと通気性が確保されたスペース
・土間は伝統的に土を使った床材で作られることが多く、調湿効果や自然な涼しさを提供します。
・日本の高温多湿な気候に適しており、夏場には室内を涼しく保つ効果があります。
4. コミュニティスペースとしての役割
・昔の日本家屋では土間は家族や近隣の人々が集まり、会話や作業をする場所として使われていました。
・現代でも、オープンな空間として友人や家族が集まるスペースに活用できます。
5. デザイン的な魅力
・土間を取り入れた現代建築では、和モダンな空間演出が人気です。
・天井の高さや素材感の工夫で、シンプルながらも趣のある空間を作り出せます。
・照明や家具の配置次第で、伝統的な雰囲気と現代的な利便性を融合させたデザインが可能です。
6. 自然とのつながり
・土間は自然素材を使った空間であるため、家の中に自然を取り込む感覚を味わえます。
・窓や庭との調和により、外の景色を楽しむリラックススペースとしても活用可能です。
土間は、伝統的な魅力を活かしつつ、現代のライフスタイルに合わせた新しい使い方が模索されています。
その柔軟性と独特の雰囲気が、今でも多くの人に愛され続けています。
現代の生活は、土間を必要としない生活スタイルになったともいえますが、
このような様々な用途として使える土間空間を設けておけば、
今の時代の住まいでも多用途に使える便利な場所になるかもしれません。
サン工房・スタジオ代表:袴田英保
「潤炎の平屋」(土間と薪ストーブがある家・犬と住む平屋) 詳しくはこちら