明るいだけが全てではない【光と壁の演出】~木の家設計作法-其の472~
開口部と壁。
開口部は光を入れ、壁は影を作ります。
開口部をたくさんつくることによって部屋が明るくなれば何でも良いのではなく、
壁によるつくられる暗さがあるからこそ、
差し込む光がより強調され、より明るく、そして美しく感じます。
最近では断熱や気密のことも考慮し、
窓の大きさをむやみに大きくして欲しいという要望も少なくなってきましたが、
それでも住まい手側からは、日照や通風をたくさん取るために、
なるべく大きな窓をつけて欲しいと言われることも多々あります。
しかしながら、私たちは、窓の面積を大きくしたり、
たくさんつければつけるほど、
室内が明るなりすぎたり、
陰影のない味気ない空間になってしまう可能性があると思っています。
開口部の数を絞ることは光をデザインすることにつながります。
なるべく窓をつけるのではなく、必要なところだけにし、
バランスを考えながら陰影も感じる程度に壁の部分も残す。
私たちは設計において
日照や通風に必要な開口を確保しつつ、
壁によってつくられる陰影により、
窓と壁を調整することで、居心地の良い空間を創り出したいと思っています。
代表:袴田英保