設計日記-其の8【矩計図により空間を描く】

先日、設計業務委託契約を結んでいただいた刈谷市の『燕居の家』
これから実施設計(詳細設計)に入り、zoomで打ち合わせをしながら、
約40枚ほどのCAD図面を起こしていきます。

本日は、まずそのCAD図面を起こしていく前の検討として、手描きの矩計図を描く作業を
新しい岡崎スタジオの事務所を行いました。

まずは、基本設計図をもとに、仮伏せ図と断面計画の検討を行います。
間取りに合わせ、どのように荷重を支えるかを考えながら、梁の配置と大きさを
大まかに決めていきます。

そしてそれをもとに、ポイントとなる部分の高さをスケッチし、
問題ない高さや、デザイン上押さえたい高さをひとつひとつ検証し、最終的に建物全体
の高さを決定していきます。

最初はこの様にとてもラフですが、矩計図を描いて全体空間を決めていきながら、
再度、仮伏せ図を描く中で精度は少しずつ上がっていきます。

そしていよいよ手描きの矩計図を描きます。
矩計図とは大きな断面図だと思っていただければと思います。
主に高さ関係を決めていく詳細図ですが、空間の質や雰囲気はこの図面でほとんど決まって
しまうと私は思っています。
建築家の故宮脇檀さんは、設計の作業の中でほとんどが所員に任せるようになったが
矩計図だけは、あらゆる構成を決定するきわめて重要な図面なので人に任せずに自分で描くようにしていた。
と「宮脇檀の住宅設計テキスト」の中で言っていました。

住宅設計に携わるようになった頃にそんな宮脇檀さんの言葉を見た私は、それに倣って、
どんなに忙しくても、矩計図は必ず自分の手で、それも手描きで描くようにしようと思い、
それからずっと、実施設計が始ると矩計図を最初に手描きで描き続けています。

この矩計図の作図は私にとって、本当に大事な作業です。いわばその家に魂を注入するような
作業といっても良いと思います。実際手描きで作業することはCADよりも作業効率は悪いのかもしれませんが、
細かい線を1本1本描きながら、設計の構想など、いろんなことを考えているので、
全然無駄ではない時間であり、逆に必ず必要な時間だと私は思っています。

今回の『燕居の家』にも魂が注入できたと思います。