木の家設計作法‐其の2【「物語」と呼ばれるもの。】

最初に住まい手に要望を書いていただく「物語」と呼んでいるシートがあります。それは、住む人がどんな家を望んでいるのか、どんな想いを託しているのか推しはかるためのヒントを書いていただくアンケート用紙のようなものです。家に何を望むか、どのような生活をしたいかというような、抽象的で大きな視点のものから、毎日の生活のこと、将来の家族の成長のこと、希望する設備のことなど細かい具体的なことまでたくさん質問させていただきます。

これらは私たちが住まいづくりを考える上で重要な手がかりになると同時に、住まい手のご家族にとっては、大切な家族の「物語」になります。なぜなら、ひとつひとつを丁寧に質問し、答えていただくことで、ご家族自身が家族の将来をあらためて確認し、考えるきっかけになるからです。

 ところで、その質問の中に、こんな問いかけがあります。「特に心に残っているあなたの想い出(原風景)はどのようなものですか?」
実は私たちが最も大事にしている質問のひとつがこの「想い出(原風景)」です。
友達と隠れた納戸のかくれんぼ、兄弟と夕暮れ時に遊んだ庭、縁側での祖母の膝枕…お答えの中い出てくるそれら想い出の場面は、決して特別な日や場所でないことに気づと思います。

私たちは、遠い日のささやかな場所にも目を向け、過去から綴られてきた家族の「物語」の行間に見え隠れする想いを丁寧にすくい取り、新しい家での「物語」としてつないでいくために一緒に考えていきたいと思います。

「舘山寺の長屋」(平屋・二世帯住宅)
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