岡崎市の木の家工務店から モダニズムとは。~スタッフのひとりごと-其の9~

こんにちは。

先週の台風16号の影響か、屋外はまだまだ暑いですが、室内に入り窓を開けると気持ちよい風が入ってきます。

最近ではエアコンを付けることなく窓を開けてサラサラした涼しい風を取り込み、心地よく作業をしています。

この暑くもなく冷たくもない人間の体温に対して心地よいと感じる空気は、秋から冬になるまでの短い期間だと思うので、冷たい空気になるまでその心地よい時を満喫していきたいです。

 

以前、豊田市美術館のお話をさせていただいたときに、モダニズムのことをお話をさせていただくということでしたので紹介させていただきます。

モダニズムとは、欧米から始まった考えで、モダニズム以前にあったの伝統的な手法や宗教的権威、道徳的に正しいとされていたことから絶縁し、〝合理化〟という考えをもって社会や文化を発展させていくという考え方です。要は昔の権威的で堅苦しい考えから抜け出し物事を合理的に考えようとすることです。

例えば学校や会社で昔から決められていた規則などに対し、「何でこんなやらなくてもいいことをわざわざやるんだろう、それをやるぐらいだったらこうやってやる方がいいのに」といった考え方と似ているような気がします。

今でこそ当たり前の考え方と思いますが、昔は伝統や宗教的権威、道徳などが絶対的なものとしてあったので、なかなかそういった考えをもてなかったのかもしれません。

建築でいうと、モダニズム建築とよく言われますが、これも合理的、機能主義的な考え方のことです。合理的、機能的考えとは、過去の伝統的な様式建築の特徴である装飾的な建築を、飾りなだけで生活には必要ないよねと機能的に否定します。そして工業製品という量産でき、全く同じ物という新たな素材を用いることでコストを抑えて様々な物を素早く作り、みんなが豊かに生活できるようにします。

現代でこそ様々な工業製品が日常的に使われ、大量生産された物が気軽に安く手に入るようになりました。しかし18世紀から19世紀にかけてヨーロッパで産業革命が起こったとき、人々が都市に流入して多くの人が一カ所に集まるようになり、その人たちが生活する場所が必要になりました。

そのとき工業製品などを使うことで(マンションやアパート、団地など)多くの人が一カ所に住める場所を作ることができるようになりました。

それまでの建築物というのは権威の象徴として、いわゆる絢爛豪華な装飾を施した建築物が一般的でしたが、モダニズム建築というのは市民ひとりひとりに向けての建築物でした。

そしてただ工業製品を用いることによって多くの人が住める場所をつくれるというだけでなく、新しい考え方が生まれるきっかけにもなりました。

例えば工業製品が生まれる前は、レンガや石造りで建物の構造を持たせてきましたが、工業製品が生産されることで、鉄筋コンクリートや鉄骨などを使えるようになりました。そのため、それまで制約されてきた構造条件などから解放され新しい形を作ることが出来るようになり、また新しい考え方も生まれる事となります。

とくに建築界には近代建築の三大巨匠と呼ばれる三人の建築家がいますが、その方たちが新たなかたちや考え方を世の中に広めていきました。その方々についてはひとりひとりがとても面白い考えを持っている人なので、またひとりひとり個別でお話しします!

モダニズム建築の特徴としては、装飾がなく直線的なかたちが多く、機能的・合理的で、地域性や民族性を超えた普遍的なデザインになっています。昔の伝統的な建築物を見ると、どこの国の建物かわかったりしますが、モダニズム建築は普遍的なデザインなのでどこの国の物かわからない特徴があります。

しかし、決してデザインが在り来たりとか良くないとかそんなことはありません。

機能的であり、且つ美しいかたちの建築物が世の中にはたくさんあります。今私たちが生活している建物は工業製品で造られたものだけでは無いです。しかし、ほとんどが機能的、合理的な考えを持った物でではあります。それは至極当然なことなのですが、同時にモダニズムの考え方でもあります。

そのため今世界中にあるほとんどの建物や物はモダニズムであり、私たちが生活している空間のほとんどがモダニズムの恩恵をうけています。